覚せい剤やっちゃった人の否認の言訳、教えます。

わりにあっさり、ASKAさんが、覚せい剤をホントはやってたと認めちゃいました。

ウェブ上では、「SAY YESなのに否認なのか」とか「チャゲ&アンナカ」とかの小ネタがここ数日飛び交っていましたが、個人的には「否認は難しいよなあ」と思っておりました。

日本の刑事裁判では、無罪判決の率が非常に低い…というのは、わりと有名な話です。なかでも、覚せい剤使用の事件は、格段に無罪になる率が低いんじゃないかと思います。

覚せい剤の使用の疑惑で逮捕されたら、必ず尿検査をします。捕まった人が自発的に尿を出さなかったら、カテーテルという道具を使って、病院で強制採尿されます。
で、陽性反応が出たら、まずアウト。

陽性反応が出る→都合2週間以内くらいの間に覚せい剤(あるいはそれと同じ成分)を摂取した→覚せい剤は誰でも簡単に手に入るってもんじゃない→自分で手に入れて自分で使用した疑惑濃厚→疑惑を覆す事情がない限り、有罪

ということになるわけです。

こういう具合なので、尿検査の結果、「覚せい剤(あるいはそれと同じ成分)が体内に入ってしまったこと」が明らかとなってしまった人は、主に「自分で体内に入れようと思って入れたわけではない」という弁明を刑事さんや検事さん、果ては裁判官にすることになります。

もっともよく聞くのは、「自分が知らないうちに飲み物の中に入れられた」というものです。例えば、「同居している女が自分を陥れようとして、ジュースの中に知らない間に混ぜやがった」なんて言い訳です(注:覚せい剤の摂取方法は、注射、炙って煙を吸う、溶かして飲むに分かれます)。

大概、こういう場合、注射器なんかが家宅捜索で見つかったりして、アウトになります。私自身は担当した方にこういう言い訳をされたことはありませんが、修習生の時代に裁判傍聴で見たことありますし、友人が担当した人がこういう言い訳していたというのも聞いたことがあります。

当然、両方とも有罪でした。

あとは、「自分は嫌で抵抗していたのに、無理やりされた」というのもあります。例えば、彼氏が性交渉の前に気持ちよくなるからやろうと誘ってくる→いやでいやで抵抗する→体を押さえつけられて打たれるというストーリーなどです。

まあ、暴力を振るわれた形跡が残っていれば通りうるかもしれませんが、たいていは、責任のなすりつけと評価されて、勝てません。

そして、一時期流行ったのが「キムチをいっぱい食べて覚せい剤反応が出た」というもの。

これは、今までお話ししたのと違って、「覚せい剤はやってないんだけど覚せい剤の反応が出ちゃった」という否認です。
どうやら、キムチの中には、ごくごく微量の覚せい剤成分が入っているらしいのです。真偽のほどはわかりませんが…
で、たくさん食べたら、こんなことに…と弁明が、流行?した時期があったのです。私自身は経験していませんが、よく聞きました。

しかし、仮にキムチに覚せい剤と同じ成分が入っていたとしても、尿検査で陽性反応が出るには、気の遠くなるような量のキムチを食べなければならないわけで、こんなことを接見の際に言われたりしたら、弁護士としては、「さて、どうしたもんか。このまま否認させていいのか」とかなりひるみます。

特に経験の浅い新人さんなんかが、おそらく、何回もシャブでお縄ちょうだいになっているベテランさんにこんなこと言われた日には、もうどうすればよいのか、オロオロです。

テラバヤシとしては、キムチの話はともかく、「知らないうちに飲み物の中に入れられていた」とか「彼氏に無理やりやられた」という言い訳の中には、一定数、真実そうだというものが含まれているように思います。

特に、暴力団なんかだと(昨今の暴力団は表向き、シャブはご法度ということになっているようですが)、からかい半分というか、お遊び感覚で兄貴分が下っ端に飲ませることなんかもあるんだそうです。
多くの場合は、薄々勘付くのでしょうが、本当のお子ちゃまだと気が付かない場合があるんじゃないんでしょうか。

性交渉の際に無理やり…なんていうのは、もっとありそうです。

ただ、どれも密室での出来事なので、周りにシラを切られたら終わりになってしまうのです。

さて、ASKAさんは、当初「アンナカだと思ってた」と主張していたわけですが、どうして、自白しちゃったんでしょうか。
弁護士が説得したんでしょうか。
そうだとしたら、どうやって説得したんでしょうか。気になります。

なぜなら、弁護士としては、「自分の依頼者の言い分を信じる」というのが、まずは活動の大前提になるからです。
なかなか正面切って「あんたの言ってることは信用できない」なんて言えないのです、よっぽどのことがない限り。
トラブルになるリスクが、髙いですから。

いずれにせよ、ASKAさんの弁護士さんは、片山さんの弁護士さんと違って、逐一報告しないところが正しいと思います。
言い分がどう変わるかなんて、わからないのです。
そして、しゃべればしゃべるほど、余計な尾ひれがついて、週刊誌のネタにされるのです。
ASKAさんや周囲の人のことを考えると、絶対にしゃべらないほうが賢明です。

守秘義務を負っている弁護士が、べらべらと依頼者とのやり取りやプライベートを、世に吹聴すると、ろくなことにはならんのです。










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by terarinterarin | 2014-05-24 01:13 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。


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