物騒な事件が起こった時に思うこと。
2014年 07月 10日
この間、ブログを読んだ方や依頼者の方から、お見舞いのメールなどをいただきましたので、まずはご報告(とはいえ、まだ、食事量をなかなかあげられずにいます…一汁一菜でちょうどよいくらい。とほほ…)。
さて、体調不良で臥せっていた間から復帰し始めたころ、東京あたりでは、ちょっと物騒な事件が相次いでいました。
例えば、池袋の脱法ハーブ暴走事件。同じく池袋の発砲事件。そして、渋谷の刺殺事件。
こういう事件が起こると、普通のみなさんは「怖い」、「池袋、渋谷方面に行くのはやめようかな」などなどと考えるのでしょう。
私の両親もこの類のことを考える人間で、こういうニュースが流れるたびに「行動には十分気を付けて」とか「人通りの少ないところは通らないように」という注意喚起メールが、絶対に必ず送られてきます。
そして、当の娘はというと、こういうニュースが流れるたびに思うのは、多くの場合、
誰が弁護人になったんだろう?
です。
以前も書きましたが、私は今まで刑事事件を担当することが多かったことなどもあり、刑事弁護の達人のみなさんと幸運にも知り合いだったり、お名前だけでも存じているという方がたくさんおります。
それ程著名でなくても、刑事事件を熱心におやりになっている弁護士もたくさん知っています。
ニュースで流れちゃったような事件で、特に被害者の方がお亡くなりになっているようなケースだと、警察の取り調べも厳しくなることが予想されます。
こういう場合、被疑者の防御活動のために、弁護士会の刑事弁護委員会から「委員会派遣」という形で、いわば押しかけ女房的に早期の段階で、弁護士が接見に送られることも少なくありません。
送られるのは、当たり前の話ですが、力のある優れた弁護士(=達人たち)です。
で、「当然、委員会で派遣してるよなあ」「誰が行ったんだろなあ」なんて考えていて、後日誰が行ったか分かると、「ああ、○○さんが行ったんだ…あれは大変だぞ~」なんて考えたりするのです。
別なバージョンもあります。
多くの弁護士会では、「当番弁護」といって、主に逮捕された直後の方から接見要請が弁護士会に寄せられた場合に出動する弁護士や国選弁護人の指名については、名簿制になっていて、待機日が決められています。
自分の待機日の前日あたりにこういう事件が起きて、直に犯人が逮捕されたりすると、「もしかして、私のところに来る?」などとドキドキした気持ちになります。
ぎりぎりセーフで、待機日を免れると、なんとなく安堵する…ということになります。
誤解のないように言っておくと、別に怠惰ゆえに安堵しているわけではなく、こういう世間の耳目を集める事件を担当すると、被告人の防御活動以外に気遣わねばいけない点なども色々と生じるため、それなりの覚悟と気合が必要なのです。だから、目の前を台風が行き過ぎてくれると、ほっと一安心…なんてことになるのです。
名古屋時代は、「ビンゴ~」なんていうこともたまにありましたが、東京に戻ってきてからは弁護士会の人数も比べ物にならないくらい多いので、「ビンゴ~」も少なくなりました。
とはいえ、優秀な達人のところには、自然、そういう事件は何らかの事情により集まってしまうわけで、気苦労の多い事件ばかり担当されている弁護士には、「お疲れ様です」の一言ではくくりきれない慰労の気持ちを持ってしまうのでした。