弁護士の業務広告のお話をした以前の投稿でも触れましたが、今年度、テラバヤシは東京弁護士会の所属派閥の執行部のお仕事をしています。
担当は弁護士業界の「業務改革」分野の様々なことです。
そんなわけで、月に1回ほど同じ担当の同業者と会合を開いては、弁護士業務にまつわる現代の問題点、新たな問題点について議論したり話し合ったりしています。
そんな会合があった先月終わりのこと。会合後の飲み会の席で、事務所のホームページの話になりました。
このブログでも何度か触れていますが、ともえ法律事務所のホームページは業者に頼まずにテラバヤシ本人が作りました。
見ていただければわかりますが、全く法律事務所っぽくないホームページです。自分の趣味全開です。
昨日なんぞ、とある法律事務所のホームページについてあれこれ論評していたところ(まあ、あまり褒めてはいない)、我が妹から「ひと様の事務所のホームページにあれこれケチつけてる場合か」というきっつい一言をもらってしまったくらいのものらしいです、どうやら。
これらに加え、このブログや各種ウェブサイトの記事などから、ともえ法律事務所にたどり着き、テラバヤシに依頼しよう、相談しようと思う人は、かなりな程度限定されているようで、お陰様で、事務所開設以来、依頼者との関係で大トラブルが生じたということは今のところほとんどない状況です。
つまり、様々な媒体を使って?テラバヤシの趣味嗜好を前に出した結果、テラバヤシでも我慢できるという方々だけが来てくださっている、と言ってよいと思うのです。
そういう話を飲み会の席でしたところ、とある大大大先輩にして、修習生や若手弁護士のセミナーでも有名なとある弁護士から、こんな話を伺いました。
少し前に、事務所のホームページの文字を小さくして、記載する内容を増やしたのだそうです。
そうしたところ、冷やかしみたいな法律相談の依頼や、法律相談・依頼をめぐるトラブルが格段に減ったのだとか。
「ホームページの業者の言うなりになっちゃだめだよね」と、その大先輩は話していました。
似たような話は、弁護士業界以外にもありました。
もう10年以上も前から、我が妹がお世話になっているフラワーアレンジメントの先生がいます。
先生は、普段はお花屋さんをやっています。
大きな通りからは少し離れたところにある、「知る人ぞ知る」お店です。
私も何度か訪れたことがありますが、置いてあるお花は白やくすんだ色のものばかり。赤や黄色やピンクなど鮮やかな色の花はほとんど置いてありません。
このお店のホームページは、先生がご自分で作っています。
ホームページには、お花の注文フォームはありません。
注文は来店か電話でしか受けません。
お花業界では(どこもそうかもしれませんが)、インターネットの注文のトラブルがとても多いらしいのです。
先生のお店では、注文をめぐるトラブルは一切ない、とのことです。
大先輩の話、お花の先生の話を聞いて、「自分のやり方はやっぱり間違っていなかったのだ」と思えました。
弁護士とてサービス業の一種(と私は思っています)。
そうである以上、常にトラブルとは隣り合わせです。
そのトラブルの因子を少しでも少なくするのが、仕事をスムーズに運ぶ大きなひとつのコツであることは間違いありません。
そして、トラブルを回避する1つの方法として、間口の部分で、自分の仕事のコンセプトや事務所の特質などを理解してくれる人がたどり着けるようにしておくことは、とても有効なのです。
ホームページを自分で作る、ホームページに自分なりの工夫を加えるということは、まさにその第一歩だといえるでしょう。
仕事をどういうルートで受けるかということも、「間口」の部分で、自分にマッチした人がたどり着くようにするという意味では非常に重要ではないかと思います。
テラバヤシは、電話相談もメールのお問い合わせもしているので、一見かなり受注のルートは広いように見えるかもしれません。
しかし、実際には、お問い合わせ方法は、事務所にダイレクト電話、弁護士ドットコム及び「シェアしたくなる法律相談所」サイトを通じての電話又はメール、ホームページのお問い合わせメールフォームだけで、あとは時折紹介で事件をお受けするのみです。
これだけたくさんの「登録サイト」の営業が日常的に来ることを考えれば、大都市圏で、上記だけのルートであれば、特段多い方とは言えないと思います。
ルートを広げれば広げるほど、様々な人が自分のところにたどり着きます。
登録サイトによって紹介のされ方は様々でしょうから、十分に弁護士の人となりや事務所の雰囲気などを考えずにたどり着く人がかなり増えてくることになります。そうすると、事件の処理方法や相談への回答をめぐってトラブルが発生しやすくなる。
必然的に、他の仕事に影響が生じてなかなか進まないことにもなるわけです。
このブログでは、今までも弁護士の広告方法について何回か投稿をしています。
斬新なことを言っているとか思われたり、「いろんな人を受け入れてやっていくことが弁護士なのに、間口狭めてどうすんの」といった否定的な受け止め方も少なからずあるようでした。
しかし、うまく言えないのですが、「自分の仕事」を仕事として全うしようと思えば、それを理解してくれる人に来てほしいと思うのはある意味当然であって、そういう視点からホームページ作りというものを考えた場合、立派なものよりはその人のカラーが出るものを作ることが必要であることは間違いなさそうです。