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マツコ デラックスさんの自己認識。

昨年の話題の中に、間違いなく入るであろうというのがLGBT問題の進展だと思います。
同性カップルに法律婚夫婦と同等の行政サービスを提供する自治体が複数出てきたり、会社の中でも、手当などの面で男女の夫婦と同じ扱いを行うところが増えてきました。
こんなに心の性の問題が注目された年は今までなかったかなと思います。

そんなところで、マツコ デラックスです。名前が長いので、以下マツコさんと表します。悪しからず。
マツコさんといえば、4日午後の情報番組ミヤネ屋で、宮根誠司さんと確かジョナサンで飲み食いしながら対談したVTRが流れていました。

2人は、ビールを飲みながら話していて、途中多少酔いも回りながらのトークとなっていったのですが、途中、マツコさんがこんな趣旨の言葉を言っていました。

テレビの世界は、こんな自分を受け入れてくれた。
だから自分は、テレビの世界に魂を売るって決めたの。

寺林はマツコさんのファンで、著作も数冊読んでいるので、マツコさんが、テレビ界や文筆の世界で活躍していることについて、非常に謙虚な姿勢を持っていて、言葉は違えど似たような趣旨のことを書いていたのは何度も読んだことがあります。

が、いくら旧知の宮根さんを前にして酒が入っていたとしても、まさかテレビでこれを言うとは思っていませんでした。
それだけ、自分がゲイであることに対するコンプレックス、申し訳ない思いが強いのだと、感じました。
だからこそ、強烈な毒の間から、気遣いや優しさが垣間見えるのだとも感じました。

日本には、割りに古くから、オネエタレントと呼ばれる人々がいます。
マツコさんもそうですが、はるな愛さんや、ミッツ マングローブさん、ナジャ グランディーバさん、KABA.ちゃんなど、多数の方が属している芸能人のカテゴリーです。

これも、マツコさんが以前有吉さんとの番組で言っていたことですが、オネエタレントって一括りにするけど、その中に含まれている人って、全然みんな違うからね、と。
例えば、はるな愛さんは、本当は法律上戸籍を女性に変更できる人だけど、自分たちはそれはできない(当時は違いましたが、KABA.ちゃんは、その後性適合手術を受けて、戸籍上の性別の変更許可申し立ても行いました。今や女性であります)。
自分の性認識が、男性という人もいれば、女性という人もいる。恋愛対象が同性の人もいれば、異性の人もいる。女性の服装をしたいか、男性の服装をしたいかという違いもある。

これらを掛け合わせていけば、オネエタレントと呼ばれる人たちの属性は、実に千差万別です。オネエタレントの中には、すでに完全に女性になっている方もいるわけですから、オネエタレントという呼称には、実は、たいした意味なんかなくて、世間がオネエタレントと位置付けた人、あるいは、そういうカテゴリーのタレントとして扱われることを厭わないタレントさんたち、ということにしかならないのでしょう。

寺林が得た情報では(書籍で事実上公表されているので、ここで書いても問題ないと思いますが)、マツコさんは、性認識は男性で、恋愛対象は男性、お仕事以外では女性の格好はしないと聞いています。仲良しのミッツさんは、普段も女性の服装だそうですが。

こんな風に多種多様な性的背景を持つ人が、オネエタレントというカテゴリーに限定してもあるにもかかわらず、マツコさんがなぜ、自分の属性について「こんな私」と卑下するほどの申し訳なさや、コンプレックスを抱いたのかはわかりません。

でも、LGBTというのは、おそらく今も多くの性不適合な人々にとって、そんなもの、それに近いものだったりするのでしょう。

他のオネエタレントのみなさんの中で、マツコさんほど自分を卑下する気持ちを吐露した人を、私は見たことはありません。
いつも、楽しそうに、明るく、振舞って見せています。
でも、蓋を開けてみれば、マツコさんと同じくらい、それ以上の気持ちでいる方はたくさんいることと思います。

LGBT問題が進展を続ける昨今、オネエタレントのあり方、ありゃどうなんだという批判をする人もいるようです。ふざけていると。問題を歪めていると。

ですが、寺林は、逆の考えで、オネエタレントと呼ばれた人が長い時をかけて、テレビで堂々とふるまっってきたことは、間違いなく、LGBTのみなさんの地位向上に繋がってきたのではないかと思います。

それと同時に、マツコさんの告白も、LGBTのみなさんに「自分だけではないんだ」という孤独感を解消することに役立っている側面もあるように思うのです。

話はそれますが、栗原類さんは自身の発達障害を告白して、芸能活動を続けておられます。

どこの世界でも、いろんな属性を持った人が、その属性を自身のものと受け入れて生きていける世の中になればいいな、と思うのでありました。






by terarinterarin | 2018-01-06 23:45 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。


by terabayashi