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どうも。
クリスマスのテラバヤシです。
自宅です。
さっきまで、ちょっとした書き仕事をしておりました。
ひと段落つきまして、ブログを更新することにしました。今年最後になろうかと思います。

前回、弁護士の未来予想図、みたいな投稿をしたところ、多くの反響を得ました。
で、そのあと、ふと思ったことがありました。
きっと、あの発言って、今の自分、つまり、新人と呼ばれる立場から中堅?くらいになって、甚だ不十分とはいえ、それなりの経験を経たからこそ言えたものなんだろうなと。
ちょっと、若手の皆さんにとって、ミスリードがあったかもしれないと思って、そのあたりについて書きたくて、今回更新することとしたわけです。

司法試験に受かり、司法修習を終えた直後の人の、法曹としての就職状況が、かなり氷河な雰囲気になっているということは、よく聞きます。
そのせいか、内定を出してくれるという事務所に、ポンと就職を決めてしまう、いや、決めざるを得ない。
これ自体について、よくない、などというつもりは、毛頭ございません。
選択の余地なんて、ごく一部の選ばれし合格者にしかない、という状況であることは、私も聞くに及んでいます。

それでも、テラバヤシは、就職の相談などをされた場合、必ずこう言っています。
「最初に入る事務所って、大事だよ」と。

同期やその周辺の期の人たちと一緒に事件をしたり、事件の話をしたりすると、受任するときの書面のやり取りや、着手金・報酬の貰い方、受けていい案件かどうかという嗅覚の働かせ方、依頼者や相談者に対するスタンスなどなど、実に様々分かれます。
その多くは、「へ~、そういうやり方もあるんだ」「へ~、そういう考え方もあるのか」で済むものなのですが、たまに、「その感覚はまずいだろ」「そのやり方はちょっと」「え…非弁とか大丈夫なの」「お金とりすぎと違うのか」などなどと思うことも、ま、正直あるわけです(注:テラバヤシは、これでも、こと受任・契約の場面では、かなり神経質なほうだと思います。それはそれで必ずしもいいこととは思っていませんが)。

で、その「やばいなあ」という感じの人がいた事務所について、たまたま知っていたり、後日、噂なんかを聞いたりして、あ、なるほどね、と腑に落ちることが少なくないという…
つまり、最初に入る事務所は、弁護士としてどう生きていくかを決める、かなり重要な要素になっている、とかなりな確信をもって思うわけであります。
だって、弁護士になって何年も何年もしみついている感覚なんですから、その影響たるや馬鹿に出来ないということは、明らかでしょ、と。人間って「染まる」生き物ですし。

お断りしておきますが、これ、単なる私の感覚です。全く論理的じゃないです。
なんか根拠資料だせや、とか言われても出せません。あしからず。
でも、さっきも書いた通り、かなりな確信を持っています(もちろん、その人がもともと持っていた常識レベルなんか結構な要素であることは否定しません)。
やばい感覚の事務所に入って、やばいことに気づかずにそれを踏襲し続けて、懲戒を繰り返して果ては除名処分、なんて末路が待っていなくもない。

別なパターンも考えられます。
やばい事務所の感覚についていけず、でも、ここで事務所を出ても次に行くところがないと悩んだ挙句に心を病むとか。
やばい事務所ではないけど、やはり、自分の感覚ややりたいことと合わない事務所に入ってしまった場合には、同じような状況が生じることもあるでしょう。
最近、就職氷河期であるとともに、早期に最初の事務所を離れる弁護士も増えているように思うのですが、どうなんでしょう。自分の肌感覚として感じるのですが、これ、どこかにデータないんでしょうか。あれば見てみたい。

心を病んで早い段階でリタイアしてしまうと、病状によっては、治療して復帰するまでに相当なタイムラグを生じることにもなります。
そうすると、それはそれでハンディと感じて、自分に更なるプレッシャーをかけることにもなりかねず。

難しいのは、「じゃ、そんなことになるくらいなら、費用かけずに即独すればいいじゃん」という人もいるかもしれません。
でも、費用かけずに独立するのは十分ありだと、半ば奨励していたテラバヤシであっても、即独というのは、「最後の最後の手段」として位置付けるべきなんじゃないのかな、と思うのです。即独じゃなくても、やはり、弁護士になって間もないうちに、自分一人の事務所を始めるということは、最後の手段として考えてほしいな、と思うのであります。

都市部を基準にして言うと、弁護士になって間もないころは、ほとんど同期の知り合いしかいないのが普通でしょう。もちろん、修習で知り合った上の弁護士がいるにせよ、まだ、その人自身をきちんと知ってもらえている状況ではない。
そんななかで一人で舟をこぎだしても、事件処理の仕方はわからない、「臭覚」をどう働かせればいいのかもわからない、という状況に陥ってしまいます。
そういう人には、ブラックな層の人たちが寄ってきやすいわけで、知らないうちに犯罪の片棒担がされている、なんてことになりかねないわけです。

早い段階で独立→稼がなきゃいけない→会務ができない→余計人間関係が希薄になるなんていう悪循環にも陥りかねない。
成功するには、よほどの才覚とよほどのコツとよほどの努力が必要なのだと思います(私には、それが何なのかわからないので、具体的に書けません。あしからず)。
即独するんなら、会務などを積極的にやって、人間関係をどんどん広げる努力が必要だと思います。そして、遠慮なく、周りの人に相談を求める(もちろん、単位会にもサポート体制はお願いしたい)。

地方の単位会なんかだと、即独文化が古くから根づいているところもあり、そういうところでは、事務所を構えるところから事件処理の仕方、受任まで、周りの弁護士がしっかりサポートなんて話も聞いたことがあります。しかし、それも、どんどんその単位会の人数が増えていけば、そうはいかなくなるのは当たり前で、「じゃあ、おれ、田舎に行けばいいんだな」などと、短絡的な結論にはできないのです。

変な事務所に入ってもダメ、即独も慎重にということになれば、一番いいのは、やっぱり「自分にフィットする事務所」に入るということなんですよね。
この「フィット」もどの程度の「フィット」なら大丈夫かということは個人差があり、あまりにそれを求めすぎると、単に「ぜいたくを言っている」「選り好みをしている」ということになってしまうんですけどね、難しいところです。

ただ、個人的にこういうところはやめたほうがいいなあと思うポイントが、ふたつほどあります。

まずひとつめは、外出を厳しく制限する事務所。こういうところは、ちょっと考えたほうがいいと思います。所長の許可なく外出するなとか、何時から何時までは外出するな、とか稀にそういうところがあるらしい(もちろん、私にはわかりませんが、取り扱っている分野の都合上、そうせざるを得ない事務所というのがあるかもしれない。ここで言っているのは、そういう事情がない事務所です)。
もうひとつは、国選をなるべく受けるなとか会務をするなという事務所も考え物だと思います(都市部では、この手の事務所の存在は、わりにあるようです)。

両方に共通していえるのは、こういう事務所は、新人を育てようという気持ちはない可能性が高い、ということです。
新人は小間使い、自分の下に置いといて、自分のいいように使いたいという意識の表れである危険性が高いということ。

もちろん、それでも馬車馬のように働いて、その事務所でパートナーになってやる、のしあがってやるのだという野望があったりする人に対して、無理に引き留めするつもりは毛頭ございません。そういう人は、そこで頑張ってください(私が念頭に置いているのは、そういう野望のもとでは踏ん張りがきかない、ごく普通のひとたちです)。

ちなみに、テラバヤシは、最初のボスにこう言われて名古屋に赴任する前の1年を過ごしました。

「仕事なんで会務の合間にやればいいんだ。」
「思想信条主義主張、うちは自由だから。」
「被告人の話はきちんと聞いてあげるんだよ。」
「ただで仕事はしちゃいけない。でも、くれるお金はいくらでもありがたく貰いなさい。」

たぶん、これしか教わっていません。なんせ、面接に行く前に電話した私に「履歴書なんていらねえからな」と言ってたボスですから(実際、姉弁が一応持って行った履歴書は、私が入った数か月後に、本棚の隅っこから、くっちょくちょになって発見されました)。

これしか教わらなくても、なんとかその後の7年間、無事に過ごしてこれました。
これしか教えてくれなかったボスに、私は感謝しています。

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今年ももうすぐ終わります。
ちょっと早いですが、このブログ、今年一年読んでくださった皆さんにお礼を申し上げます。
ありがとうございました。

良いクリスマスを。
そして、良いニューイヤーを!!





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by terarinterarin | 2014-12-25 01:08 | Comments(0)
あっという間に12月。
本日、夕方、有楽町あたりを久し振りに通りかかりましたが、イルミネーションがばんばん灯って、平日だというのに人がわんさとあふれかえり、年の瀬ムードが満載でした。

開業して2週間後くらいにブログを更新した後、とんとご無沙汰してしまいました。
他の開業間もない弁護士から見て、事件数が多いのか少ないのかはわかりませんが、バタバタと主観的には忙しく過ごしてきたので、そんなに悲惨な状況でもないのだろうと個人的には思っています。

事務員なし、パートナーなしのひとり事務所で、今まで事務局に任せていたことも自分でやるという生活になりました。
もちろん、事務所の掃除も自分でやりますし、お茶入れ・片づけ、郵便だし、入出金、提出書面のホチ留め(ま、これは今までもたまに自分でやっていたけど)、などなど、全部自分でやらないといけません。

大変ねえ、と言われることも多いですが、自分には案外、この独立のスタイルは、合っているかもしれないと思います。
元々、大きな所帯を構えて、そこのボスになりたいという気持ちは一切持っていない人間です。
子供のころからマイペースで、他人と歩調を合わせるのが苦手で、ついでに、規則正しい生活も苦手。
正真正銘のひとり事務所は、期日や締切、依頼者の都合を意識すれば、あとは自分のペースでやっていくことができます。
自分で負わねばならない責任が重い分、自由度は高い。
私には、よかったかなあと思います。

もっとも、マイペースだからといって、独善的になるのは最終的に自分の首を絞めることになるので、今まで以上に同業の皆さんとかかわりあって、感覚がおかしくならないように努めることは忘れちゃならないんだろうなと、そこは注意しているつもりです。

規模を大きくせずに独立したことで、「稼がな死ぬで!!」というプレッシャーも、おそらくそれほど強くない状況に自分を置くことができたのではないかと思います。
そして、今後、私や私よりも、もっと低いコストで独立してやっていく弁護士のスタイルが、おそらく都市部では割と主流になっていくように思います。

「二重事務所の禁止」というルールがあるので、およそ執務もできないようなスペースを借りて、あるいは架空事務所を借りて、実質的には自宅で仕事というスタイルで行くことは、できないと思われます。
そうすると、特に女性(私も含めて)は自宅事務所というのは、防犯上怖くてできないので、コスパがいい物件を探して執務スペースを作ることになります。
ちょっと割高。

でも、防犯上の問題は、自宅環境やその他セキュリティによってクリアできるという場合には、自宅事務所にするという選択肢は十分にありかなと思います。
法律相談なんかは、弁護士会の面談室を借りればいい。
あるいは、依頼者のご自宅に伺っても場合によってはいい。
実際、私も、最初の面談については、極力弁護士会館の面談室を利用するようにしています。

電話に出られない時の応答の問題も、携帯に転送するとか、電話代行を頼むとか工夫できる。
複合機は必需品だけど、無理してA3標準装備の機種にする必要もない。小型のものであれば数万円でそこそこの機能のものが買えます。
FAXはEメール受信できるようにすれば、「紙地獄」に陥ることもない。
シュレッダーだって小型のもので十分。シュレッドしにくいものは、溶解サービスを利用すれば処理可能です。それだって、一人分ならそれほどのコストにならないし、事務員を一人雇うことを考えれば、全然安価。

こうやって、かけるコストを下げていけば、無理せず独立することができるし、簡単に法曹でいることをあきらめる必要もない。
もちろん、弁護士様としてがつんがつん儲けたい、というタイプの人にはお勧めできない方法ですが。

こういうこじんまりした弁護士像を、悲しい・哀れととらえる人もいるかもしれません。
でも、コストをかけない分、着手金や報酬を吹っ掛ける必要もない。
事務所の名前とか、一等地に事務所を持っているとか、大きなチェーンであるとか、そういうブランド力がない分、信頼を得て少しずつ仕事を増やしていく楽しみもあります。
自分の時間も作りやすい。付加価値をつけるための勉強の時間も捻出しやすい。

ただ、こういう弁護士は孤立しがちなのも、また事実です。
弁護士会の面談室が飽和状態になる可能性もあります。
弁護士会さんには面談室を充実してもらえると大変ありがたいです。
あと、こういう独立の仕方する弁護士には、「孤立が危険なんだ」という自覚も、すご~く必要なんだろうなと。
でも、ここさえ気を付ければ、ほんと、たぶん、そんなに悪くないと思うのです。

コスト削減という意味からすると、複数の事務所が統合して大規模化する、最初から複数の弁護士で事務所を立ち上げる、という方法もあります。私は向いてないと思いますが、扱っている事件や弁護士のキャラによっては、こちらのほうが向いていることは当然あるわけで、この路線も今後益々続いていくように思います。

その人の個性やライフスタイルで、事務所のスタイルが多様化していく、自分で独立してみて、そんな未来を予感してしまったのでした。

ではでは。





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by terarinterarin | 2014-12-12 23:08 | Comments(1)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。


by terarinterarin