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もう、あけましておめでとうございます、という時季をとうに過ぎております。
が、本年もよろしくお願いいたします。

新年あけて早々ですが、昨年末の話から今年はスタートです。

年末に行われた全日本フィギュアスケート選手権。
男子シングルで4位になった町田樹さんは、世界選手権の代表に選ばれながらもこれを辞退し、年末での引退を発表しました。
そして、今後、研究者の道を志すという決意を述べました。

この決意を述べる際に、町田さんは、引退後のキャリア形成について「セカンドキャリア」という言葉を使って表現していました。

彼ほどの選手になれば、コーチや振り付け師として、あるいはプロフィギュアスケーターとしてある程度の成功を約束されていたことでしょう。
いわば、今まで築いてきた、しかもかなりな実績を出しているキャリアの延長線上にあるものを絶っての、新たなチャレンジを選択したと考えることができます(もちろん、彼の研究したい内容を聞けば、まるでフィギュアスケートと関係ないというものでもなさそうですが、研究者の世界は、まるで今までいた世界と勝手が違うことは一目瞭然でしょう)。

スポーツ選手の第二の人生といえば、実績がある程度ある人に関して言えば、やはりコーチや監督など「その世界」でどっぷり生きていくのが中心というイメージがありました。後はプロスポーツ選手なんかだと、飲食業などビジネス方面に行くとか。
特にフィギュアスケートの選手って、先ほども話したとおり、実績を出した選手はコーチや振り付け師、プロスケーターとして生きていくという選択がほとんどだったと思います。

その中で、町田さんは、フィギュアスケート選手として、非常に新しい生き方を見せてくれた、ということになります(実は、中野友加里さんというトップ選手がフジテレビのADになったときも話題になったのですが・・・フジテレビという辺りで、「新しさ」を感じさせなかったように思います)。

しかし、よくよく考えてみると、この流れ、フィギュアスケート以外のところでもよく起こっているし、我々法曹の世界でもあまり珍しくない現象になっていくんだろうな、と思われます。

先日「開運なんでも鑑定団」を見ていたところ、元AKB48メンバーだった方が、起業して大成功し、大豪邸とクルーザーだったかをなんとキャッシュで購入したという話がありました。
元アナウンサーの菊間千乃さんは、アナウンサーとしても大変著名な方でしたが、現在は弁護士として活躍しています。

町田さんの場合、後進の台頭と自身の年齢等々から考えて、ここらで引退した方がいいという判断だったのではないかという邪推もあるようです。

が、個人的には、どんなに華々しい実績を残していようと、「自分はこれからどうありたいか」「どうやって生きていこうか」という悩みは、それとは関係なしに訪れるものだと思いますし、あの情緒豊かな演技をする町田さんであれば、さぞかし胸の中で、これからの自分に対する想いが渦巻いていたんだろうなとと想像できます。

私たち弁護士の仕事も、今やダブル資格・トリプル資格保有者というのが珍しくない時代になってきました。
公認会計士や社労士、中小企業診断士など、ビジネス・会計系の資格を別に保有の方、知り合いでは社会福祉士、精神保険福祉士、臨床心理士などとのダブル資格を持っておいでの方もいらっしゃいます。
だからといって必ずしも、メインの業務をそちらの方に移すことまで考えている方は、現在、極少数といえるでしょう。

しかし、こんな大変な資格を仕事しながらとっちゃうなんて、私から見ると神業なことができてしまうのは、単に仕事上の必要にかられて、とか、単に面白そうだから、とか、とっといたほうが儲かりそうだから、とか、そんな程度の気持ちではなくて(その程度の気持ちでやってのける人は、本当に神だと私は思う)、新たに取る資格にまつわる様々な物事に対して、自分なりの深い想いがあるからではないかと、勝手にそう思うのであります。

そして、そういう気持ちが高じてくると、思い切って専業でそちらの世界に飛び込んでしまえと覚悟を決めるお方も増えてくるのではないか、そんな風に思えてなりません。
弁護士が「ゴール」だった時代は、終わりを告げようとしているのではないか、そんな風に思えてなりません。

こういう流れには、司法試験が変わってしまって、法曹資格がうまみの少ない「単なる資格」になりつつある今の状況が何らか関わっているのかも知れないけど、必ずしもそうではないのかなあとも感じます。
だって、自分が今いる場所とは違うことに興味が向くということは、それ相応に仕事がある状況が前提となっているでしょうから。
ただ、法曹資格の重みが低くなってしまったことから考えると、弁護士にしがみつきたいという動機はあまり働かなくなり、「セカンドキャリア」(人によっては、サードキャリアとか)にシフトしやすい傾向にはなるのかなあと。

私自身も、常に自分の今の状況がこれでいいのかと考え続けています。ここ数年、考えない日はないように思います。
それでも、ここにとどまっている自分をほめていいのか、もちっとカツを入れなければならないのか、その判断もできない情けない状況です。

町田さんの突然の発表は、かなりびっくりしたけれど、「自分の弁護士としての今」を考えるに当たって、大きなきっかけを与えてくれたのでした。


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by terarinterarin | 2015-01-10 02:09 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。


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