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起案しなきゃ。
そう思えば思うほど、現実逃避したくなるのは、同業者の皆さんにご理解いただけるのではないでしょうか(と、自分だけがダメな人でないことを姑息にアピール)。
日曜日の午後、皆様、どのように過ごしておいででしょうか。

さて、先週のことですが、4名の修習生と、ちょっとした会合でお話しする機会を得ました。
多少お酒が入り、リラックスした雰囲気で、どうということもない世間話が続いていたころ、就職の話になりました。

4名のうちひとりは、法テラスに採用が決まったとのことでした(いよっ。ワタシの後輩!!)。
しかし、養成事務所がまだ決まっていないとのこと。私のころは、養成事務所は自分で見つけなければならなくて、法テラスに受かる受からないより、そちらの方がむしろ気持ち的に負担が多かった。今もそうなんでしょうか…まあ、最後は法テラスがどうにかするんだろうと思うので、このお方は、修習後の就職という点については、さして心配することもないのかな、と。

うちふたりについては、まだ就職は決まっていない、ということでした(1名は、この話の時にちょうど席をはずしていて、不明)。
そして、そのうちのひとりが「ソクドクしようかな」などと(嘘か本気かわかりませんが)、ぽろっとつぶやきました。

私の目の前にいたのは、たった4人の修習生。
そのうちの一人から、まだ新規登録までに半年以上が残されているこの時期に、「ソクドクしようかな」という言葉が出てきた。
ということは、「ソクドク」という選択肢は、イソ弁になるとか、インハウスになるとか、そういうこととほぼ同列のものとして、今の修習生の心に留められている。そういっても過言ではない状況なのかな、となんとなく感じました。

以前にも書いたと思うのですが、新人のソクドクについては、テラバヤシは慎重派です。
理想を言えば、「小間使い」としてではなく、教育・育成という面から新人弁護士を雇ってくれる責任あるボスの下で、事件処理の基本を学ぶべきだろう。独立は、その後というのが基本だと考えています(注:これも前に書きましたが、地域的に「ソクドク」が根付いているようなところは除外します)。

が。今の弁護士業界の買手市場は、新人イソ弁に対して、絶望的な状況を生んでいることもあるようで。
ろくな教育もせず、使い走りのような仕事ばかりさせる。
事務所からの外出を禁じる。
会務活動を禁じる。
個人事件を禁じる→その割に給与はとてつもなく低い。
要は「足元を見て不利な労働条件を押し付ける」ブラック法律事務所が確実に存在しているし、(数は増えているかどうかわかりませんが)目立つようになっているように思われるのです。

そんななかで、修習生に「ソクドクはあかん」なんて言っても、「じゃ、ウチらどうすればいいわけ」ということになっちゃう。
そんなわけで、「ソクドク」も選択肢としてありきとして、「ソクドクの仕方」を考えることが必要になるんだろうな、と思いました。
要は、ソクドクするにあたって一般的に問題になるであろう部分を予めフォローしておくところからスタートするべきなんだろうな、ということです。

テラバヤシの頭の中に浮かぶソクドクの一般的な問題点は
・金の問題(設備投資、事務所の維持費)
・「相談する人」の確保
・事務作業や電話対応のフォロー
という点か、と思います。

こういう点を解消する選択として、一番取りやすいのは、「複数名で事務所を作ってソクドクする」という方法ではないでしょうか。

設備投資も事務所維持費も負担が軽減されていきます。
「相談する人」も確保できます。
相手が不在の場合の電話対応もしやすい。
事務作業を手伝ってもらうことも時には可能。

個人的には、3人がベストかな、と思います。
相談した際の手っ取り早い意見は1つよりも2つの方が、よりバランスを取りやすいですし。
電話対応などのフォローも、過重を分散しやすいですし。
逆に3人を超えると、広いスペースが必要となり、家賃の負担が重くなる可能性が出てくる。3人なら、普通のワンルームマンションくらいのスペースで、ぎりぎりいけると思うのです。
それに、「ルールオブ3」という言葉もありますしね。
「三人寄れば文殊の知恵」という言葉もあります。

もちろん、3人でやれば、それで問題なしというわけではなく、相談相手としてアテにできる中堅やベテランの弁護士をひとりふたり確保しておくことが必要です。修習先の弁護士なんかに(その人が頼りになる人であることが前提なわけですが)、予めお願いしておくべきでしょう。
それから、金銭の負担のルールは予めきちんと作っておくこと、事務所会議をまめも開いて、相談や不満を恨みっこなしで話せる機会を確保しておくことも必要です。

とはいえ、残念ながら一緒に事務所を開く仲間を見つけにくい、という場合もあると思います。
いまどきは(まあ、都市部だけでしょうが)、「弁護士」に特化したレンタルオフィス的なものもあるようなので、そういうところを探して活用すべきでしょう。
経験を積んだ弁護士もいて、事実上相談に乗ってもらうことも可能ですから…
ただ、レンタルオフィスは、コストが逆に高くなる場合もあるので、そこは自分の懐とよく相談することが必要でしょう。

「弁護士」に特化したレンタルオフィスという書き方をしたのは、普通のレンタルオフィスでは、守秘義務を貫徹できないリスクが高い(特にお安くなればなるほど、その危険は高い)と言えるからです。「弁護士」特化型であれば、その点の問題も解消しやすいだろうと思われます。

「ソクドク」しても、「お客が来ない」などと焦っては絶対にいけません。
焦ると、分不相応な広告に手を出して費用を散逸し、かつ対応困難な客ばかり呼び込む結果となって、最悪、精神をやられて弁護士そのものができなくなる可能性が高いです。
テラバヤシの場合、経験8年目で独立しましたが、「なんとかいけるかも」と思えるようになるまで、4,5か月かかりました。これでも早い方だといわれることもあります。
ソクドクの場合は、もっともっとかかるという覚悟を持つべきでしょう。

最近、アトム法律事務所が始めたLINEでの法律相談が話題になっていますが、あれが成り立つのは、予め「アトム」というネームバリューがあってのことです(注:あれがいいとは思いませんが)。新人や個人事務所の集客方法としては、不適です。

焦るな、あわてるな、という私の言葉は無責任と言われるかもしれません。
でも、こんな状況だからこそ「身の丈に合った船出」をすることが大切だと思います。
新規登録まで、まだ6か月以上あるのです。
登録した後にきちんと仕事ができるようになるためには、まずは、修習を全うして「基礎の基礎」を身に着けることが大切です。
それをおろそかにして、明るい将来はあり得ません。
焦りさえしなければ、ソクドクでもイソ弁でもインハウスでも、徐々に徐々に道は開いていくものです。

そんなわけで、このブログが焦りそうな修習生や新人の皆さんの一助になればいいな、と願いつつ、本当に仕事しようと思います。








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by terarinterarin | 2015-05-17 14:17 | Comments(0)
ゴールデンウィークが終わった…と思いきや、明日はもう土曜日。
働きに出てはみたものの、いつもの調子に戻りきらないまま、またお休みモードという人も少なくないかもしれません(同業者でお休みがとれていた人は、逆に忙しい土日でしょうか)。

つい最近まで、珍しく私選の刑事弁護を担当していました。
別に刑事専門弁護士を謳っているわけでも何でもないので、法テラスをやめた後も、そんなにどばどば私選の刑事事件が来るわけではありません。
それでも、独立後は2件目の私選刑事弁護。やっていて、思うところがありました。

今回の事件では、家族間の私生活上の連絡にとどまらず、経営している会社の関係者との業務上の連絡もこなさざるを得ませんでした。
やっていたことは、単なる事務連絡でした(当然、証拠隠滅などにつながらないよう、かなり詳細に事情を聞いたうえで行いました)。一度、その延長線上で「これはきちんと委任状とって代理人としてやらなければならないかも」という事態になったことはありましたが、結局は、依頼者の意向でそこまでには至りませんでした。

自分がやっていたのは、あくまで「業務上の連絡」といういわば事実行為に留まるもので、刑事弁護の契約の枠内からはみ出しているとまで言えないものと思われました。が、これ、国選の弁護人だとやりにくいだろうなあ、やらないほうがいいんだろうなあ、とそんな風に思いました。

国選弁護とは、国がその費用である特定の被疑者被告人の弁護活動を弁護士に委託するというもので、被疑者被告人自身との間に契約関係はありません。
加えて、国選の刑事弁護をする場合、職務基本規程上、その事件について報酬その他の対価を受領してはいけないというルールが定められています。
つまり、要は(解釈にもよる…のかもしれませんが)「国が支給する費用だけもらって刑事事件だけを担当する」というのが、国選事件ということになるわけです。

もちろん「だけ」とはいえ、実際にどこまで「だけ」としてやるべきか、やっていいかは、割に微妙な判断になることもあるでしょう。
「差し入れしてほしい」、「息子の○○が就職が決まったので伝えてほしい」みたいな単なる連絡は、特に家族が遠方にいる場合は当たり前にやるとして、よく新人研修のお題なんかに出される「飼い犬のえさやり」までやるべきかどうかは悩むところでしょう(個人的には法的な義務はないと考えます。個々人が責任を持てるかどうかで判断すべき問題じゃないかと思います)。

そして、今回、私がこなしていた「業務上の連絡」は、「民事の代理」と薄皮一枚。民事の代理をやるとなると、やらねばならない内容によっては費用をもらう必要がある。すると、先の「対価受領禁止」のルールとの関係が気になってきます。
「業務上の連絡」はやっていたのに、その延長線上にある「民事の代理」はやらないというのも、実際にはなかなか難しいこともあるでしょう。
そうすると、「業務上の連絡」の段階で、「できません」と断ってしまうという選択肢も、しかたないし、むしろそうしたほうが賢明といえる場合もあるだろうと思われるわけです。

ただ「民事」の問題といっても、弁護活動の一環として当然やらねばならないことはいくつかあります。典型的な例は、示談。これについては、先ほどの線引きのルールは当てはまらず、「だけ」の範疇に入るので、国選弁護人とて、交渉はやらねばならん。

また、「だけ」の範疇については、国選とて、被疑者被告人の利益のために可能な限り手を尽くすことは当然なんであって、例えば、特段の理由がないにもかかわらず、被疑者に勾留中1度しか会いにいかないとか、検察官請求証拠もろくに読まずに公判に臨むとか、たった数行で控訴趣意書を終わらせるとか、そんな活動が言語道断であることはいうまでもありません。

世間では、あるいは、何度か刑事処分の経験がある方たちの間では、「国選の先生は動いてくれない」というのが、ある意味定説化しているようです。
が、この「動いてくれない」の意味するところは、かなり多義的ではないかと思われます。

国選の先生だから、接見にあんまり来てくれない。
国選の先生だから、示談を一生懸命やってくれない。
国選の先生だから、家族と会えるようにしてくれない、保釈の申請してくれない(注:どうひっくり返っても無理という事件もありますが)。

こういう場合は、「国選弁護人としてやるべきこと」を十分にやってくれないといえるので、被疑者被告人の皆さんの愚痴、程度によっては糾弾の的になることは甘受せねばならないでしょう。

がしかし、

国選の先生が、犬にえさをあげてくれない。
国選の先生が、業務連絡をしてくれない。

ということになると、「国選弁護人としてやるべきこと」をやっていないとまでは言えない。特に、「業務連絡してくれない」については、先ほども書いた通り、国選弁護人の権限や対価受領禁止ルールの関係で、むしろ「やるべきではない」「やらないほうがいい」といえる場合が想定されるわけで、そうすると「動いてくれない」と愚痴られるのは、本当は、ちょっと違うんだろうな、と。

そして、こういうある意味における「誤解」を解く術がなかなかないというのも、弁護士としてはつらいところ、なんであります。
多くの場合、被疑者被告人、その関係者の皆様の理解は、「国選はお金が安いからやってくれない」というところですから。

個人的には、「自分は犬のえさやりも、あなたの会社の業務連絡も一切やらない。しかし、弁護人としてあなたが早期に釈放されるよう全力を尽くします」という姿は、非常に正しく(アホみたいな言い方ですが)かっこいいよな、と思います。

自分の場合は、これでも気が小さいので、こんなに堂々と宣言することはできません。
被疑者被告人の顔色を見ながら、機嫌を損ねないよう、やんわりやんわり、じんわりじんわり、ものすごい遠回しな言い方するところから始めることになりましょう。


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by terarinterarin | 2015-05-08 22:31 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。


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