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昨日から今日の朝にかけて、東京弁護士会の自身の所属派閥(一応所属しているんですよ、こんなワタシでも)の大イベント「旅行総会」というものに出かけておりました。
メインイベントは、文字通り「総会」でして、決算予算の承認に会務報告、宣言や決議の採択などなどだったりします。

総会の前座?的なイベントにはシンポジウムが企画されておりまして、昨日、テラバヤシはその企画者として、はたまた登壇者として、参加してきました。
テラバヤシが登壇したシンポジウムのタイトルは、「イマドキな弁護士の業務広告~実例とルールに学ぶ~」というものです。
要は、近年中心になっているインターネット上の業務広告の活用例とその注意点に関するお話です。目的としては、「ルールを頭に入れたうえで適正な広告を有効に活用しましょう」ということを同業者(派閥の皆様)にご理解いただこうというものでした。

テラバヤシの方からは「イマドキな弁護士の広告についてお話します。」というタイトルで10分ほどのプレゼンをしました。
イマドキな「おひとり様事務所」をかまえるテラバヤシが、あまりお金をかけずにどのように集客をしているかという話です。
ザックリ言うと、「基本情報等を載せているホームページや弁護士ドットコムページがあり、ブログ(注:ブログが本当に集客につながっているかどうかは以前からこのブログに書いている通り、なお検討の余地はありますが)、各種SNSがこれへの導線的役割を果たしている。ホームページは自分で作っており製作費ゼロ、弁護士ドットコムへの支払いやホームページの月料金(独自ドメイン取得及び広告非掲載のための費用)くらいしか金はかけていない」という内容です(うーん、10分もいらないなあ…)

その後、別な弁護士が、「ご法度」も取り入れて作成した法律事務所のホームページ例を披露、最後は、弁護士業務広告規制のエキスパート(というとご本人はかたくなに否定されます。)が、弁護士業務広告の規制について解説する…という流れでした。

あんまり詳しく話すと、「会員限定のシンポだったんだぞ!!!」とかお叱りが飛んでくるかもしれないので、ポイントになる部分のみピックアップして、弁護士広告の規制について、ちょっと触れていきます。

日弁連には「弁護士の業務広告に関する規程」というものが存在しております(注:同業者向けに言うと、日弁連には、その他業務広告に関する規制としては、「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する指針」、「弁護士の業務広告の調査及び措置に関する規則」があります)。その第3条に「禁止される広告」が定められています。
具体的には、①事実に合致していない、②誘導又は誤導のおそれ、③誇大又は過度の期待を抱かせる、④困惑させ、又は過度の不安をあおる、⑤比較広告、⑥法令・会則・会規違反、⑦弁護士の品位又は信用を損ねるといったものが禁止されます。
例としては、①年中無休と書いてあるのに土日対応していない、②専門分野表示が要注意(とある分野についてエキスパート表示しているのに、「実は新人で、こういう事件初めてです」)、③「あっという間に解決します」、④「すぐに対応しないと告訴される」と煽る、⑤景表法違反、「**相続センター」などの表示、その他通称、愛称等の表示、⑥違法・脱法の対応をするかのような表示など、が挙げられるとのこと。

また、4条には表示できない広告事項が挙げられています。具体的には、①勝訴率、②顧問先または依頼者、③受任中の事件、④過去に取り扱い又は関与した事件です。②、③については、例外もありますが、いわゆる「解決事例」(とある有名弁護士広告サイトさんが、書いてくださいと推奨するあれですね。)なんかは、何をどう書くかについてかなりな配慮を要することになるわけです(もちろん架空事例を載せると虚偽広告になるので、3条違反となります)。

で、規程違反の広告については、弁護士会に、調査権や、規程違反弁護士に対する違反行為の中止命令等の各種措置権など、種々様々な権限があるわけです(12条)。

ただ、東弁での実情からすると、広告規程違反(いわゆる形式犯)の情報提供自体はあまりなくて、実質的な非行が伴っているケースの情報提供がほとんどとのことです(**センターの表示が、実際に非弁提携を伴うケースもあるようです)。

興味深かったのは、広告が効果を発揮しすぎた結果、依頼を受けすぎて処理遅滞に陥り、そのために例えば債権の消滅時効期間が経過してしまったり、「(提訴していないのに)既に提訴しました」みたいな虚偽報告をしてしまう、そのために懲戒請求を受けるというケースもあるというお話でした。

正直言って、今回の企画に関与するまで、弁護士業務広告の規制の詳細というのはあまり意識していませんでした。
が、結果として、テラバヤシの各種広告的なものは、(ギリギリセーフのものもあるようですが)とりあえず規程違反のものはないようでした。
守秘義務等をはじめとする法令・会則上の義務について、それなりに意識しながらホームページを作ったり、ブログを書いていたのが功を奏したかなと思っています。

で、いわゆる「形式犯」についての多くは、会の方から「ここまずいよ、直しなさい」という指示が飛んで来た場合にきちんと対応していれば、大事にはならないようで、そういう意味でいうと、広告規制について、あまり過度に恐怖心を感じる必要もないのかな、と思っています。

特段の顧客を持たないで独立した人、事務所からの事件の割り振りをあまり期待できない「ノキ弁」的立ち位置で仕事している若手などは、やはり、なんらか広告を出したいという気持ちを持っている人も少なくないと思います。
そういうときに、勢い込んで「自分を大きく見せよう」としすぎちゃうと、規程違反になってしまう危険性が出てくるように思います。

他との差別化をどう図るかというのは、結局広告だけでどうにかなるものではなく、どういうことに興味があるのかとか、どういうことを学んできたのかとか、そういう実質に負うものであるということなのだと思います(まあ、ある意味当たり前といえば当たり前のことなのですが)。

ちなみに、基本事項ですが、氏名と所属会は弁護士広告に記載必須だそうです。案外所属会って記載を落としがちみたいなんで、この際、同業者で何らかの広告をしている皆様においては、ご確認いただくことを推奨します。

ではでは。


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by terarinterarin | 2016-07-10 17:54 | Comments(2)
先日の高知東生さんネタの続きです。

ワイドショーなんか見てると(特にサンデージャポンのテ〇ー*藤あたり)、覚せい剤や大麻なんかのいわゆる禁止薬物に手を出した人は人間の屑であるという前提で、人格が徹底的にさげすまされている光景が、これでもかってくらい映し出されています。

高知さんが持っていた4グラムという量は個人の所持量としては、結構とんでもない数字だったことは事実(そのために売人説まで浮上している)です。
が、覚せい剤なんかの禁止薬物を売っている側と使った側の悪質さ度合いというのは、もう月とスッポンくらい違います。薬物使用者に「犯罪者」のレッテルを貼る日本の法制度自体にそもそもの疑問を感じたりします。

人の脳や精神に働きかける薬物の中で、どれを市販OKとするか、医師の処方箋により一般人が所持することを認めるか、一定の職業の人のみの利用を認め原則的に所持を禁じるかということは、その薬が持つ危険性という指標が中心になりますが、その他政策的な判断によることも結構多いのが事実でしょう。

たばこについてめんたまひんむいて高い税金をかけている欧米諸国のいくつかでは、一般人が大麻を所持して吸引することが認められています。
そして、これまで所持使用することが特に禁じられていなかった薬物の使用が禁止されることもしばしばあります。

例えば、ケタミンという主に(日本では)馬の麻酔薬として使われていた薬は、2007年に麻薬取締法の禁止薬物に指定されるまでは、合法的に使用できる薬物でした。依存性が高く濫用傾向にあるという理由で日本では禁止されていますが、WHOでは安全な麻酔薬として容易に利用できるようにすべきだとされているようです。

さらに、つい最近抗精神病薬のベゲタミンが販売禁止となりました。
このベゲタミンという薬は、薬物乱用者にとっては有名な薬で、容量が少ないものには「白玉」、容量が多いものには「赤玉」という隠語があります(錠剤の色を示しています)。脳の中枢に直接作用し、過剰摂取のリスクが高いことから販売停止となったようです。

薬を欲する人は、その薬自体が欲しいのではなく、その薬から得られる「薬効」(要は気持ちよさ)を得たいがために、その薬を手に入れようとするわけです。
そうすると、その薬を使ってはいけないと取り上げたり、その薬を使っていることを非難されたりするだけでは、禁止薬物を使わなくなるだけであって、類似の作用を得られる別な薬物に走るようになるのです。

過去、薬物事犯や、薬物を摂取した後のラリってる状態で犯罪を行った人を何度も弁護してきました。
1日に何度も覚せい剤を打つ乱用者だった人が、薬で捕まった後、仕方なしに向精神薬を買いあさって(複数に病院をはしごして薬をもらいまくる。「ドクターショッピング」といいます。)過剰摂取するようになった人に何人もお会いしました。
ケタミンを使っていたけれど、ケタミンが入手しずらくなったうえ、逆に覚せい剤の方が入手しやすいために覚せい剤を買うようになった、という人もいました。

薬で得られるある感覚に固執するのがいわゆる「依存症」という病であり、このような病がある人は、その感覚を得るためにはなんだってします。なんせ、病気ですから。
覚せい剤や大麻を買うことは、問題の本質では全くない。
薬効を欲するその心が本質的な問題なのです。

なので、覚せい剤や大麻を買うことだけを鬼の首取ったみたいに糾弾することは全くお門違いでしかありません。
こういう行為は、他の薬でラリること自体は問題ないという誤ったメッセージを与えかねない危険なものです。
まあ、有名な人が他の薬でらりった結果、不覚のうちに事件を起こしたら、またそれはそれで喜んで叩く連中がいるんだろうな、とは思いますけど。

おそらく覚せい剤や大麻を買って使う人が激しく糾弾されるのは、そういうものを売っているのが暴力団であり、その売り上げが暴力団の資金となるからでしょう。
しかしね、買った側からしてみると、自分が欲しい作用を与えてくれるものを売っていたのがたまたまやくざだったのですよ。
例えば、水が一滴も飲めない状況でやくざさんが自分の目の前に1万円でペットボトル振りかざしたら、自分は買わないなんて皆さんいえるんですかね?

日本の警察というのは、見せしめに芸能人を捕まえてさらしたりしていますが、それで薬物使用者の減少に特段の歯止めがかかっているかというと全然そんなことないわけで。
この問題について(に限らないけど)「つるし上げ」が全く有効性がないってことくらい、明々白々のことなはずです。

薬物使用の問題っていうのは、精神作用のある薬の流通管理をどうするかという側面ととある薬効に依存する病気の人たちをどうケアするのかという側面から考えられるべき問題です。

覚せい剤や大麻の奥に隠された問題について認識理解がない人間は、偉そうに使った人たちを糾弾する資格なんぞないでしょう。



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by terarinterarin | 2016-07-03 17:01 | Comments(2)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。


by terarinterarin