怖いのは、「脱法ドラッグまで」じゃないんだよ!

再び&今更のASKAネタです。

なんですか、ここ1週間見たテレビのいくつかで、「脱法ドラッグの恐ろしさ」みたいな特集をやっていました。おそらく、ASKAが、逮捕当初「アンナカだと思ってた」なんて言っていたからだと思うのですが(ただ、非常に「脱法ドラッグ」の定義ってあいまいだなと思っています)。

確かに、いわゆる「脱法ドラッグ」というのは、覚せい剤など違法ドラッグと類似の効果のものがありますし、怖いということは間違っていないですし、それを啓蒙すること自体も間違ってはいません。

ですが、個人的に、もっと怖いのは「合法のお薬の乱用」だと思っています。
つまり、精神科や心療内科で処方される睡眠薬や、向精神薬等々の類の薬です。

「ドクターショッピング」という言葉をご存知の方って、どれくらいいるんでしょうか(同業者の中には、比較的多いと思うのですが)。
これは、睡眠薬や向精神薬を大量に手に入れるために、精神科や心療内科をはしごすることを指す言葉です。

私がこの言葉を初めて聞いたのは、弁護士3年目くらいのときでした。当時私は名古屋で仕事していました。
担当していた事件の関係で、薬物依存(合法、違法問わず)治療の専門クリニックの医師を訪ねて行ったときの話です。

手当たり次第に心療内科や精神科に行っては、自分の症状(寝られないとか抑うつだとか)を訴えて、欲しい薬を手当たり次第に処方してもらう。
中には、薬の銘柄を指定する人もいるんだそうです(こういう方は、作用がきつい薬を好む人が多いんだそうです)。
で、手に入った薬をちゃんぽんで数十錠一気飲みするという…
これにお酒がプラスされちゃうこともあります。

一気に寝てしまうのであれば、対外的に問題を起こすこともないでしょうが(もちろん死の危険があるので胃洗浄の必要とかはあり得ますが)、前後不覚の状態で万引きをしたり、妄想に取りつかれて人を傷つけたり、なんて事態に陥る人も少なくありません。
事件を起こさなくても、夢や幻覚を見ているような状態に陥って奇行を繰り返す…なんていう人もいます。
リストカット癖を同時に持っている人も少なくないようです。

覚せい剤や脱法ドラッグには「依存性」があり、やめるのが難しいとよく言われます。
でも、やめた人を私は何人も知っています。
要は「使っているのがばれたら捕まる」ということを学習すれば、「捕まるのはいや」と思える人は、やめることができる(場合もある)のです。

ですが、合法のお薬の場合、症状があれば処方してもらえます。お薬手帳でもない限り、他で同じものを同時期に処方されているなんてことはわかりませんから(勘付いていることはあるにせよ)、どんどん処方されちゃう。
事件を起こさない限り、強制的にストップさせられることもない。

やめる機会を得にくいわけです。

仕事柄、今まで何人かの精神科医にお会いしていますが、中には、「こういう人に薬をやめさせるためにはペナルティを与えることが必要なんだよね」なんて言う人も複数いらっしゃいました。
薬を飲んで前後不覚になって事件を起こしても、「自分がわからないうちにやりました~」と言えば、許してもらえる。そう思っている限り、絶対治すモチベーションが起きない、というのです。

刑務所という施設の中の悲惨さ(特に医療体制の悲惨さ)をわりによく知る寺林としては、入らずに済むならそんなところ入らないのが一番だと思っているので、そのお医者さんの意見は何とも承服しかねます。
しかも、事件起こしてない人はどうすればいいわけという話にもなります。

じゃ、どうすればいいのかと言われると、家族が薬を管理するというのも、こういう人の場合隠れて飲んだりするので難しく、妙案が浮かんでこないのが実情です。

まずは、ご家族がお医者さんに相談してください…としかいえない状況です→本人にモチベーションがなければ元も子もない。

ですが、それだけに、最初に書いた通り「合法な薬の乱用の方が怖い」ということは、わかってもらえたんじゃないのかな、という気がするのです。









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by terarinterarin | 2014-05-29 01:21 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。ウェブサイト https://attorneyterabayashi.simdif.com  「弁護士テラバヤシ」でツイッターもやっています。


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