日本女性法律家協会について。

この度、日本女性法律家協会という団体の幹事職を仰せつかることとなりました。

この団体は、1950年にGHQに所属していた米国の女性弁護士の示唆により設立された団体です。
弁護士、裁判官、検察官、法律学の教授ないし准教授などの役職にある女性で構成されています。
現在会員は900名弱。
法律文化の発展と会員相互の親睦を図ることを目的としております。
(以上、HPほぼ抜粋…)

この団体、幹事は任期を終える際に、別の女性法律家を紹介せねばならんという慣例があります。
この度、私の知人の女性弁護士が幹事の任期を終えるということで、声がかかりました。
で、会員になると同時に幹事という役職につくことになったわけです。

7日土曜日に日比谷図書文化会館で、2013年度の総会と懇親会がありました。
役員の交代もあるということで、初めて私も参加することになりました。

かなりな緊張感で、私は会場に向かいました。

大変、大変、大変失礼な話ですが、私、この協会のこと、「女性が!!」「女性の権利が!!」とマナジリ釣り上げて連呼する、おっかねえオバサン弁護士の巣、なんじゃないかと思っていたのです。

弁護士の仕事の過程で、女性が虐げられている状況などは何度も見ており、許し難いというか不条理な気持ちが自分自身にふつふつと湧いたことも、もちろん何度もありました。

が、たぶん、自分自身、今まで女として生まれてきたことによって損をしたと感じたことが(あまり)ない人生だったせいで、その個別の事件でのやりきれない感情から、運動的なところに走る…とはなりませんでした。
また、おそらくは、若いころに同性の集団からいじめらしきものを受けた、という経験も、「女性が一堂に会する」ということに若干の抵抗感を持つ一因であるように思います。

「怖い怖い女性運動家の集まり」みたいなところに入ってしまって、大丈夫か、自分、と思いつつ、総会に参加しました。

今、この場を借りて協会の大先輩の先生方に、土下座してお詫びしたい気分です。

そこにいたのは、「昔から求められてきた日本の女性像」と法曹という仕事をこつこつと両立させ、女性法曹の地位向上のために、静かな闘志を燃やし続けていた、冷静で熱い(そんじょそこらの男性よりよほど)男前の女性法律家のみなさんたちでした。

お互いに思いやりがあり、若い人にも分け隔てなく手を差し伸べ、初対面のぺエペエの私なんぞにも本当に暖かく接してくださる(そんじょそこらの男性よりよほど)懐の深い女性ばかりでした。

女性法律家がまだほんのわずかだったころ、男性社会の中で自分たちの地位を守るために肩を寄せ合ってきた、そんな息遣いが今でも残っている、暖かい場所だなあと感じました。
(注:これからのことを考えてお世辞を並べているわけではないので、信じてください!!)

そんなワンダフルな日本女性法律家協会ですが、現在大きな岐路に立たされています。

会員数が伸びないのです。
活動の原資は、会費と基金によって賄われます。
つまり、活動を縮小せざるを得ない危険性が出てきているわけです(まだ、そこまでではないんでしょうが、最悪解散とかに向かいかねない危険もあります)。

新規登録者や司法修習生、ロースクール生などを集めてキャリアアップセミナーなどを開催しているそうですが、セミナー自体は盛況ではあるものの、入会に結びつかないんだそうです。
懇親会で食事中、会員になっても、役職につかなければ、他の会員の顔が見えにくく、あまり意義を感じないんじゃないか、と言っている人もいました。

私も、今回幹事にならないかと言われて初めて会員になったくらいですから、その認識・分析は正しいなと思います。
ただ、実は、特に女性弁護士にとっては、今こそ女性法律家協会が「頼りになる存在」になれるときなんじゃないかな、と思っています。

最近の急な法曹人口の増加のために、司法修習が終わっても就職することができず、いわゆる「即独」する弁護士が増えています。
この就職事情、女性の方が男性よりも悪いであろうことは、想像に難くありません(私の時代ですら、女性の就職は大変でしたので)。

また、せっかくの司法修習時も、修習生の頭の中は就職のことでいっぱいです。
傍で見ていても、修習生の友人同士でゆっくり語らうということはあまりできていなさそうです。
みんなが就職のライバルというピリピリした感じもします(なお、私は修習は札幌だったので、当時の東京の修習生の状況がどうだったかはわかりません。あくまで「札幌修習」目線の発言です)。

つまり、若い法曹やその卵、ひとりひとりが孤立しているように見えるのです。

これ、危機的状況です。

「即独」してしまうと、周りの人との接点をとても持ちにくくなります。
事件処理の基本も誰にも教えてもらえない、やっていいことなのか悪いことなのか、わからないまま走りださなければならない。
(今は少ない資金で開業できるとはいえ)事務所を回すために、筋の悪い事件もたくさん受けなければならなくなる。
まずい状況に陥って、それでも誰にも相談することができず、精神のバランスを崩してしまう…

女性の場合、男性よりさらに立場が弱いため、セクハラパワハラの標的になりやすいという問題もあります(年長の男性弁護士の中には、事務所の面接に行っても、あからさまに「女の子は出産があるから、どれくらい仕事をふれるか読めない。だから基本的に入れたくない」なんて明言する人がいまだにいます)。

こういう人たちの駆け込み寺になれるのではないか?
サポートができるのではないか?
それって、女性法律家協会じゃないとできないんじゃないか?

と、もしかすると、とっくの昔にこんな議論されてたかもしれないのに、思いついてしまうわけです。

というわけで、つい昨日まで「女法協、おっかねえよお」なんて言ってましたけど、もうすぐ登録8年目になるわけですし、今回幹事になったことが、自分のことだけじゃなくて、もっと広い世界を考えるスタートになればいいな、と思っています。

お手伝いしてほしい人には容赦なく声をかけるつもりです。
声をかけられたみなさん、よろしく。









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by terarinterarin | 2014-06-09 01:49 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。ウェブサイト https://attorneyterabayashi.simdif.com  「弁護士テラバヤシ」でツイッターもやっています。


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