刑事弁護とワタシ

同じ業界の人で、私のことを知ってくださっている人の多くは、

テラバヤシといえば刑事弁護、

というイメージでとらえているのではないかと思います。

もちろん、G先生とか、T先生とか、K先生とか、M先生とかとかの名だたる刑事弁護の大家には、到底足元にも及びません。
それに、日本全国には、中堅や若手にも、熱心で優秀な刑事弁護人がたくさんいます。話を聞いていて、その熱心な活動ぶりに頭が下がることも少なくありません。

それでも、初対面の方にお会いして名刺をお渡しするときに「あ、刑事弁護の…」と言われることが、たまにあります。当然、うれしかったりします。刑事事件の数をある程度こなしてきたし、自分なりに「結構頑張ったよなあ、あの事件…」などと振り返ることも、たまにありますので…。

一番刑事弁護の数をこなしていたのは、法テラス愛知法律事務所での勤務を始めて、ちょうど1年過ぎたころから2年目あたりまでだったように思います。
裁判員裁判が始まることとなり、それなりに罪名が重い事件もだんだん任されるようになってきました。

同時期に殺人事件と殺人未遂事件と訳アリの窃盗事件を抱えることになり(しかも、前2者は捜査中)、3つの警察署を接見のために梯子して、連日帰宅が深夜…などということもありました(当時はそういう生活がうれしくて、たいして苦にもしていませんでした。今は、こんな生活はもう体力的に無理だなあ…としみじみ感じています。年齢って怖いものです)。

刑事事件と民事事件、違うところを1つ挙げると、その事件や被疑者・被告人と関わる期間が限られていて、受けた時からある程度終わりの時期が見えることが多いというところかなと思います。

もちろん、再逮捕・追起訴が予想以上に続いたり、争点が複雑だったりして予想外に事件終了までの期間が延びることはあります。
が、起訴されずに、あるいは罰金で事件が終了する事件も少なくなく、そうすると、その方とは20日そこそこのお付き合いになります。
1個の事件だけで逮捕勾留されて起訴された場合には、すべて認めている事件だと、1審判決までの1か月半から2か月くらいのお付き合いで終わってしまいます。

しかし、その間に濃密な関わりをすることもそれなりにあり、事件が終わった後も連絡を頂いたり、思わぬ関わりができたりすることもあります。

担当した方が、後日、お手紙をくださることがたまにあります。

私は、一番最初に担当した国選事件の被告人だった方から、事件終了後にお手紙を頂きました。
まだ20歳そこそこの若い男性でした。
やった事件がまあまあ重い罪名で、かつ、少年時代の前歴もあったために、実刑判決が避けられませんでした。
判決後に控訴するかしないか相談するために面会した際「控訴しないで早く服役して帰ってきます」と告げられ、「では、体に気を付けて元気でやってくださいね」と別れました。

10日後くらいに「お礼を十分にいえなかったので」とお手紙をくれた時には、びっくりしました。
今でもその手紙は大切にしまってあります。

うれしい便りだけならいいのですが、受刑先の刑務所で受けた扱いに関する相談の手紙も時折届きます。
やはり、新人の頃に担当した事件の方(男性)からでした。
この方は、重い病気を患った状態で服役しなければならなかったため、裁判で情状を主張するためにかかりつけ医から診断書を取得していました。
私は、判決後にこの診断書を本人に渡し、受刑先の刑務所で提示するように伝えました。検査や何らかの治療をしてもらうようにするためでした(放置すると受刑中に亡くなりかねない病名でした)。

受刑先の刑務所から、「何度お願いしても検査すらしてもらえない。どうすればいいだろうか」という相談の手紙が来ました。
病気は重くなっているようで、一刻も早い治療が必要な状況でした。

この件については、受刑先の刑務所の近くにある弁護士会の人権擁護委員会というところに「人権救済申立」を行って、自分が置かれている状況とどうしてほしいかを訴えるといいですよ、とアドバイスすることくらいしか、私にはできませんでした。

その後、どうなったのか気になっていたら、服役を終えたその方から、お電話を頂きました。
結局、人権救済申立をした弁護士会から刑務所に対して、検査や治療を行うよう勧告が出され、検査を実施してもらえたということでした(勧告までに時間がかかってしまったので、検査終了直後に出所となったようです。調査には時間を要するので、やむを得ません)。

私は未熟者で、被疑者被告人の方と言い争いになることも、ごくたまにですが、ありますし、自分がやろうとしたことをご本人や身内の方に納得してもらえずに、関係が気まずくなるなどということも今までに経験してきました。

そういうことを経験するたびに、自分には刑事弁護なんて向いていないんじゃないかなと、ドツボにはまって落ち込んだりするのですが、いただいたお手紙や連絡のことなんかを思い出すと、また頑張るかな、なんて単純に回復するのです。

当たり前のことですが、どんな事件でも、担当した方が納得して喜んでくれるのが一番なんだな、と思う日々だったりします(難しいことなんですけどね)。


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by terarinterarin | 2014-06-11 19:25 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。ウェブサイト https://attorneyterabayashi.simdif.com  「弁護士テラバヤシ」でツイッターもやっています。


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