先日、ばったり法テラス時代の後輩に会いました。
結構長いことスタッフ弁護士をやっていたその方、ついに法テラスを出ることになったとのことでした。
退任後は知り合いの事務所に就職することになるそうで、ホッと一安心のご様子。
バリバリと仕事していた人で、私も自分が受けられない件をお願いしたこともありました。良い転職先?が決まったようで、テラバヤシもなんだか嬉しくなりました。
テラバヤシがスタッフ弁護士をやめたのは、2013年の3月のことでした。やめようと決心したのは2012年の12月。考え始めたのはその年の秋頃だったように記憶しています。
これは法テラス以外の事務所を辞めるケースでも同じだと思うのですが、やめようと考えた時、真っ先に考えたのは、辞めたあとどうするか?でした。
友人と一緒に理想に満ちた事務所を立ち上げようとか、こういう仕事がしたいとか建設的な方向性でやめたわけではありません。
その後のことを考えずに、とりあえず辞めることを決めた、という状況だったので、決めた後で辞めた後のことを考えねばならなかったわけです。
独立は、できれば避けたいと考えていました。
最大の理由は、依頼者と「委任契約を交わす」ことの感覚が、どうにもわからなかったということです。
法テラスのスタッフ弁護士として名古屋に行く前の1年間は、一般の事務所にいて、事務所のボスや先輩弁護士たちと仕事をしていました。
が、実際に契約締結の場面に立ち会うということは、ほんの数回だったように記憶しています(ボスはど*@りだったし)。
司法過疎地の法テラス法律事務所は、民事法律扶助や国選に業務が限られないため、地域によっては、スタッフ弁護士でも、依頼者との間で自分が主体的になって委任契約を締結することが比較的多かった人もいると思います(ただ、多分普通の二者間の委任契約ではないと思いますが)。
テラバヤシが赴任していた法テラスはいわゆる都市型。例外的に一定の要件を満たすケース以外は、民事法律扶助と国選以外の仕事はできません。
つまり、依頼しに来た人との間で、着手金や実費、報酬について協議して取り決め、契約書を作るという経験が皆無と言っても過言ではない、ある意味異常な弁護士生活を何年も送っていたということです。
この点においては、法テラスをやめようと決めた時点で、新人弁護士も同然な状況だったといえます。
法律相談の時の相談料のもらい方、着手金や報酬の相場感、提案の仕方、契約書の内容をどうするか?
こういう初歩的なことが真っ白な赤ちゃんの状態でいきなり独立するなんて、もう怖くて怖くて、とってもいきなり独立してひとりでなんてできないわ。
そんな心境で、まずは私を入れてくれる事務所を探そうと思いました。
公設事務所へのアタックという選択肢もなくはありませんでした。
が、(今だから言いますが)自分としては、せっかく法テラスを離れるのに、法テラスに類似した雰囲気がありそうなところに再び入ることには、若干の抵抗がありました。
時はちょうど、弁護士業界の不況が深刻化してきたところでした。
その時点でテラバヤシは弁護士経験6年目でした。普通の事務所に移るとなると、普通に考えれば、パートナーとして一緒にやっていくことを求められることになるでしょう。
しかし、刑事事件や個人破産、財産分与なんて問題にならない離婚、そんな金にならない事件ばかりやってきた自分には、普通のマチ弁の事務所に移ってパートナーになれる才覚はないように思えました。
そもそもが営業下手なうえ、ギリギリまであまりおおっぴらに法テラスを辞めるということも公表したくありませんでした。
就職活動は難航し、このままじゃ、いきなり独立かも、おっかない契約締結も、いきなりひとりでやらなきゃならなくなるかも、と覚悟をしかかった頃、琥珀法律事務所のボスの川浪さんに声をかけてもらったのでした。
琥珀法律事務所に入って、川浪さんと一緒に相談を受けたり、契約締結に同席するようになって、次第に委任契約を結ぶ際のおっかなさがなくなりました。「どういう費用で受けるかについては一応の基準は設けておくにしても、最後は、その場で決めざるを得ないこともままあるのだ」(もちろん暴利を貪ってはいけない)と思うこともできるようになりました。
法テラスを退職してからの琥珀法律事務所での1年半が、普通の?弁護士になるために必要な時間であったことは間違いありません。
私が法テラスのスタッフ弁護士をやっていた頃は、3年の任期を更新する人はそれほどいなくて、おそらく同期の半分以上は1回目の任期を終えて法テラスを退職していたように思います。
元々の出身事務所が公設事務所(やこれに類似する事務所)だった人の多くは、そこに戻って行きましたし、元々は公設事務所出身じゃなかった人の中にも、退職後公設事務所に入るという人がいました。
いきなり独立した人は少数派だった記憶ですが、司法過疎地域の法テラスに赴任した同期の中には、退職後独立してその地に定着するというケースもありました。
公設も含めて出身事務所に帰るケースでは、テラバヤシが持ったような恐怖感を持たずに済むんだろうなと思いますが、いきなり独立した人は、怖くなかったのかな、凄いなと思わずにいられません。
最近は任期を更新するスタッフ弁護士も多いようで、しかもスタッフ弁護士在任中に出向したり、法テラスの本部に在籍したりして、弁護士業務そのものから離れることも少なからずあるようです。
法テラスを辞めて、いざ「普通の弁護士」に戻ろう(というか、「なろう」といったほうが正しいかもしれませんが)というとき、法テラスにいた期間が長ければ長いほど、恐怖心は募らないのかなと、小心者のテラバヤシは考えてしまいます。
それとも、長くスタッフ弁護士をやっていた人の中で、「普通の弁護士」に戻ろう、なろうという人は少数派なんでしょうか。「任期付公務員」になったり、あるいは、スタッフの頃に興味関心を持った分野に特化した弁護士の道を歩んでいくことが多いのでしょうか。
いずれにせよ、門戸はそれほど広くなく、ゆるくない道が待っていることは間違いなさそうです。
これからスタッフ弁護士になろうという人、スタッフ弁護士をやめようと考えている人に、今回テラバヤシが書いたことがほんの少しでも参考になれば幸いです。
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