高樹沙耶さんの大麻騒動を見て、ふと思ったこと。

高樹沙耶さんが、大麻の共同所持で逮捕されました。
ご本人は自分のものではないと容疑を否認しています。
先の参議院選挙で、日本ではまだまだ耳慣れない「医療用大麻」の解禁を訴えたこともあり、今、高樹さんは好奇の目にさらされています。

大麻の所持、というと私には忘れられない出来事があります。
まだ登録一年目の頃でした。
法教育委員会の会務で、中学生を裁判傍聴に連れて行った時のことです。

傍聴したのは、大麻所持の刑事公判でした。
法廷に入り、傍聴席に座ると、何やら給食用のパンを入れるような大きなプラスチックのケースが2つ3つ検察官側においてあるのが見えました。
首を伸ばして覗き込むとジップロックの袋に入った葉っぱ様のものがいくつもある。
罪名に「営利目的」は入っていませんでした。
どうやって入手したのだ、と新人だった私は、少したじろぎました。

そのうち、被告人が拘置所の職員に伴われて入廷してきました。
小柄な細い男性で、ネイビーに白線2本のアディダスのジャージの細身のジャケットをオシャレに着こなしていました。下はスリムのジーンズを履いてました。
髪は背中の半分が隠れるほど長く、ドレッドが取れかかっていました。
ボブマーリーみたいだな、と思いました。

大麻の単純所持の、いわゆる認めの事件でした。

検察官の冒頭陳述やその後の審理から、被告人は、
北海道の大麻の自生地に赴き、
まさかりで嬉々として大量の野生大麻を刈り取り、
それをダンボールに突っ込んで宅急便で自宅に送り、
長いことかけて乾燥させて適量ずつジップロックして、
「これで当分困らない」とほくそ笑んでいたらしいことがわかりました。

被告人の自宅を訪れた母親が偶然ジップロックの1つを見つけ、数日間逡巡した後警察に持参して発覚した、ということのようでした。

被告人に対して裁判官がいくつか質問をした後、最後に「起訴状の職業欄に自由業と書いているけど、どんな仕事をしているのですか?」と尋ねました。

ハーブ雑誌のライターです。

被告人は臆することなく、そう答えました。
まだ、脱法ハーブとか危険ドラッグなどという言葉はなかった頃の話です。

傍聴が終了した後、引率した中学生に対して、「どう思った?」と尋ねてみました。
先生、あの人はまた絶対やると思います。
反省しているなら、頭を丸めろって感じです。
率直な感想が返ってきました。
言葉は幼いですが、よく見ていてよく感じているなあと感心しました。

ボブマーリーのような風貌。
自分の職業について、堂々と「ハーブ雑誌のライターです」と回答したこと。
野生の大麻を刈り取ってきたというその行動。

もちろん、被告人質問の最中には、反省しています、二度としませんという言葉を彼は発していました。
しかし、彼の風貌や行動からは、大麻を使うことに対する罪悪感や程の悪さというものは感じられませんでした。
まさに薬効のあるハーブのひとつとして大麻を嗜んでいる、そんな雰囲気が漂っていました。

世界には大麻愛好者が結構な数いるそうで、大麻愛好者のための雑誌も流通しているという話を聞いたことがあります(まさにハーブ雑誌)。
多くの人が知っているように、大麻の使用が解禁されている国(使用方法や使用場所に一定の規制はありますが)も決して少数ではありません。
そういう国の中には、タバコにバカみたいに高い税金をかけている国もあります。もちろん目的はタバコによる健康被害をなくすことです。
大麻を解禁している国でも覚せい剤やコカインなどは禁止されているでしょう。
つまり、大麻だけが特別扱いされているわけです。

他の薬物と一線を画した「大麻」の扱われ方は、単に「覚せい剤やコカインやタバコのような危険性や害はない」という理由(諸説あるところですが)に止まるものではないでしょう。
「大麻」には、覚せい剤やコカインなどが持つ薬効に対する単なる依存性とは違う精神的な依存性があるのでしょう。洗脳、崇拝と言ってもいいかもしれません。

そして、そのポイントは、おそらく大麻が「自然に生えてくるもの」であるところにあるのでしょう。

高樹沙耶さんは、選挙の際に医療用大麻を天然の生薬として医療現場で使えるようになればいいと訴えていました。
ナチュラリストとしての生活を極めるため、沖縄に移住し、おそらくは志を同じくしている人と生活していたようです。
今回の共同所持の件への関与は脇に置いておくとしても、高樹さんが大麻に対して多大なる信頼を寄せていたことは疑いがなく、やはりそこには「崇拝」あるいはそれに近い信仰心のようなものを強く感じるのです。

そういう意味でいうと、大麻が人を惹きつける力というのは、覚せい剤やコカインなどの比ではないのかもしれません。
それを「依存性」というのであれば、大麻は非常に強い依存性を持つものと言えるでしょう。
単純に薬効だけで人を惹きつける薬物よりも、よほど恐ろしいものなのかもしれません。



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Commented by とみたまもる at 2016-11-29 08:42 x
飛鳥の一件更新待ってます!
Commented by terarinterarin at 2016-11-29 12:29
ありがとうございます。少し推移を見守りたいと思います。
by terarinterarin | 2016-10-29 22:48 | Comments(2)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。ウェブサイト https://attorneyterabayashi.simdif.com  「弁護士テラバヤシ」でツイッターもやっています。


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