山口達也事件について考えたこと。

昨日今日とお休みをもらっちゃっているテラバヤシです。
そんなわけで、つい先ほどまでTOKIOの4人の会見を見ておりました。
ワイドショーのコメンテーターは、皆一様にそう言わなきゃいけないみたいに厳しい意見を述べていて、ここはひとつ、この事件のここまでの顛末について弁護士として感じている違和感を書いておこうかなと思ったりしました。

この事件はリアルタイムのものではなくて、2月に起こったもののようです。
被害者の方とは既に示談が終わっていて、報道された時点では、被害届も取り下げられようとしているところでした。最終的には、山口さんは起訴猶予になりました。
被害者の方の親御さんは、山口さんが社会的地位を失うことを望まないという趣旨のコメントを発表されていました。

この時点で、私は、山口さん側は単に金を積んだだけではなくて、相当誠意をもって被害者の方に謝罪し、対応したのだなと思いました。おそらく弁護士の多くがそのように感じたのではないかと思います。
一般的に示談の成否というのは、当然のことながら、被害者の方の感情に左右されるもので、ましてわいせつ系の事件ともなれば、「あんな人間からお金をもらうこと自体が汚らわしい。絶対に許してなるものか」と被害者が考えることが少なくありません。以前にも書きましたが、性犯罪における示談は、非常に難しいものなのです。

ところが、今回の件では、被害者の方が示談に応じてくれた上、親御さんはあんなコメントまで出してくれた。
単に高額な金を積んだだけではこうならなかっただろうことは、我々弁護士から見れば、非常に明らかとしか言いようがありません。
本人も弁護士も本当に誠心誠意対応したんだろうと推測されます。

もちろん、被害者の方はまだ16歳だったということですから、これ以上騒がれたくないという気持ちでの示談だったかもしれません。親御さんとしても、娘さんがマスコミやネット上で特定されるのを回避するために、示談の話に乗るという選択をしたのかもしれません。
しかし、仮にそのような気持ちがあったとしても、相手方の対応が誠意を欠くものであった場合、到底被害者の気持ちは収まりません。厳重に処罰してください、という話になるのです。
被害者側の皆さんが、騒がれたくないという気持ちを持っていたとしても、やはり示談が成立し、あのようなコメントが発表された背景には、山口さん側の真摯な対応があったからに他ならないのだろうと思うのです。

そうであるにもかかわらず、山口さんにTOKIOをやめる決心をさせ、退職願を書かせるまで、山口さんバッシングをするのは、今まで「ジャニーズ」だからといってちやほやしていた人間の汚らしい掌返しにとどまらず、被害者の方の気持ちを踏みにじる本末転倒な仕打ちなのではないかと思われてなりません。

これで、山口さんが本当にTOKIOから脱退し、芸能界から追われることになったとしたら、被害者の方はどう思うでしょうか。
自分が被害届を出したことを後悔するのではないでしょうか。
示談に応じたこと、おやごさんがコメントを発表したこと、その他今回の事件にまつわる全ての言動や行動を被害者やその親御さんは後悔するかもしれません。

これら全ての行動はどれも被害者の方が決めることであって、どの選択肢も間違っているなんて決して言えるものではありません。
山口さんを責め立てれば責め立てるほど被害者の方の「そっとしておいて欲しい」「もう終わらせたい」という気持ちは害され、二次的な被害が拡大して行くことになるのではないかと思います。

同じ年頃のお子さんを持つ親御さんがこの事件を見て嫌悪感を抱くのは、当たり前のことと思います。
ですが、だからといって、世間がよってたかって被害者が許している人間をバッシングすることが正しいということにはならないのではないでしょうか。

山口さんは少なくとも被害者の方との関係では、リカバリーの行動をとり、結果を出したと言えるでしょう(ここではアルコールの問題などは置いておくことにします)。
過ちがあってもリカバリーができたのであれば、それを傍観者の人間たちがとやかくいう筋合いはありません。
被害者の方がもういいと言っている件をほじくり返すのは、結局被害者の方を傷つけることにしかなりません。

そこのことろちゃんとわかっているのかなと思わずにいられない、マスコミのヒステリックぶりにちょっと嫌気がさしたりしたのでした。




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by terarinterarin | 2018-05-02 16:03

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。


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