カオスな世界、慰謝料請求。

猛暑から一転、雨だわ、寒いわ、の東京です。
皆様、お元気にお過ごしでしょうか?(って前回投稿からあまり時間は経っていませんが)。

テラバヤシは、インターネット上の法律相談サイトに登録しております。
そこでの法律相談とか、あるいは事務所サイトのメールフォームから問い合わせがある相談の中で、実はかなり多いのが、

この件、慰謝料取れますか?

です。

「この件」は様々なのですが、目につくのは、男女トラブルや友人トラブル。
なかでも、「妊娠させられたので、相手の男に慰謝料請求したい」という相談が、かなり目についたりします。

この「妊娠させられたので、相手の男に慰謝料請求したい」の中身も、よくよく見てみるといろんなパターンがあるのですが、例えば、

・避妊してくれといったのに避妊してくれなかったので妊娠した→妊娠したのは男のせい→慰謝料請求したい、とか
・妊娠した後に連絡取れなくなった→慰謝料請求したい、とか
・妊娠した後に、「俺の子供じゃない」とか「堕ろせ」とか言われた→慰謝料請求したい

などなどが多く見られます。

慰謝料を、「嫌なことされた、嫌な思いさせられた、その分お金ちょうだいよ」という、感情を害されたことに対する対価みたいに思っている方が結構多いんだな…と最近実感しています。

が、慰謝料というのは、不法行為、すなわち「相手方の故意過失に基づく法的利益の侵害による精神的苦痛」があって初めて生じるものなのであって、「嫌な思いさせられたからもらえる」などというものではない…と思うのです。

なので、先に挙げた3つの例にしても、他によほどの事情がない限り、慰謝料請求の対象にはならないということになる…はずです(もちろん、認知とか養育費の請求は別の話。それと3つ目の問題なんかは、これに脅迫暴行が伴ったりすると慰謝料請求しやすいパターンになるかと思いますが)。

個人的に、こと日本という国においては、慰謝料というのはそう易々と認められる類のものではないと思っています(とはいえ、依頼者の意向によって、請求するかどうかが左右されることも付言しておきますが)。

なんで、法律相談サイトとか当事務所のウェブサイトでお問い合わせくださった方には、結構高い率で「請求は難しい」とお伝えすることが多いです。
まあ、ぎりぎりとれなくもないかというときでも、「とれたとしてもかなり低額になるので費用倒れになる可能性がある」とお伝えすることが多いです(商売っ気がなさすぎでしょうか)。

しかし、これも最近実感するのですが、「慰謝料とれるとれない」「慰謝料どれくらいとれるか」ということに関する感覚って、弁護士によって結構差があったりするようです。

例えば、法律相談なんかで、「これは(私が過去にくらった判決から考えて)ちと無理だろう」とか思ったものについて、「請求できます!!」とか断言していたり、なかには「○○円くらいは請求できます」とか、金額断言してる弁護士が目についたりするわけです。

実際の訴訟で考えてみても、「お。この訴訟でこの金額来るかい」と思うほど高額の慰謝料請求の案件を見聞きすることもありますし(このあたりは依頼者の意向もあると思うので、その弁護士自身が「これくらい請求してオッケー」と思っているとは限らないでしょうが)。

不貞の慰謝料でも、私なんかは、不貞の期間とか態様とか、今までに自分が受けた判決とか、過去に読んだことがある判例とか、種々様々考えたうえで、それに+ムニョムニョして請求金額を決めています。
これは、頭の中に、不貞の慰謝料は大よそ最高額500万円という実務の言い伝え?が頭の中にあったりするからです(500万越えの話も何度か聞いたことはありますが。どんな事案だったのか詳しく知りたい)。

つまり、テラバヤシ個人は、「慰謝料請求は不法行為に基づく請求」「実務的に認められそうな金額」というものが、どうしても慰謝料のことを考えるときに離れなかったりするのですが、ひょっとしてひょっとすると、世間の弁護士の中には、この基準がない、もしくはものすごーく緩い、という人も案外いるのかなあと。

ウェブ上で流れる「嫌な思いさせられたから慰謝料請求」みたいな相談と同じ感覚の弁護士って、少なくないのかもしれないと思うのです。

そして、少なくない弁護士の皆さんが、そういう相談に対して自信をもって「請求できます」とか書いているのを見ると、「それおかしいだろ」とか思ったりするわけでもなく、逆に「私が難しく考えすぎてるのか?」と自信がなくなったりして。

実務の動きに対する感覚というのは、当然人によっても、経験値によっても違うものですが、慰謝料請求の世界って、もしかすると、中でも、その違いの差が大きい世界なのかな、と思ったりするのでした。







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by terarinterarin | 2018-08-07 17:14 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。ウェブサイト https://attorneyterabayashi.simdif.com  「弁護士テラバヤシ」でツイッターもやっています。


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