弁護士は、しゃべれませんから。

昨日のことです。
接見があったため東京拘置所に出向きました。
接見が終わった後、正面玄関を出て敷地外に出ようと歩いていると、ビジネスロイヤーのような風貌の弁護士3名が前を歩いています。

敷地を出てすぐのところにはタクシーと、人だかり。

人だかりは、その男性弁護士3人組をめがけてレコーダーを向けます。
誰かが話しかけているようです。
が、そのビジネスロイヤー3人組は、一言も発さずタクシーに乗り、去っていきました。

今話題になっているとある外国人有名人被疑者の弁護人のようでした。

数日前、ツイッターの方でも私の周りで「事件についてマスコミから聞かれたらどうするか」ということが話題になっておりました。

留守ってことにする、一応対応はするが「しゃべれない」で通す、などやり方は様々ですが、少なくとも、ツイッターのテラバヤシ周辺では、「取材を受けたら話す」という人はおりませんでした。
ちなみに、テラバヤシは「対応するけどしゃべれないで通す派」です。
マスコミさんもお仕事で聞いてくると思うし、こちらもお世話になることもあるわけですから、対応するのは礼儀かなと思ってまして。

マスコミやメディアの前の皆さんにとっては、話してくれる弁護士の方がありがたいのでしょうが、少なくとも良識ある弁護士は、「原則話しちゃダメ、だから話さない」と思っています。
なぜなら弁護士には「守秘義務」があるからです。
これは、依頼者との信頼関係を保つうえで、とてもとても、とーっても大事な職業上の義務なのです。

もちろん、依頼者の中には、自分の名誉を守るため、あるいは自分の言い分を世の中に知ってほしいので、どうぞ話してくださいよ、という方もいらっしゃることでしょう。マスコミの耳目を集めた事件の場合は特に(私は会ったことないけどね)。
でも、そういう場合でも、通常は、本人の中で「話してもらいたいこと」「話してもいいこと」「話してもらいたくないこと」というのがあるはずで、本人との間で「話していい範囲」について正しく合意を取っておいて、可能な限り合意書くらい交わしておく必要があるのではないかと思います。

そうでないと、後々「こんなこと話してくれなんて言ってませんから!!」というトラブルが生じかねませんので…

裁判の前後、接見後の突然の囲み取材、あるいは突然の電話でのインタビューなんかの場合、依頼者との間で「話していいかどうか」「どこまで話していいのか」というコンセンサスができていないことがほとんどなわけで、そうすると、弁護士としてとるべき対応は一択にしかならないはずです。原則に戻る、すなわち、守秘義務を順守してしゃべらない、という選択です。

なので、囲み取材で、いとも簡単にぺらぺらとしゃべっちゃう弁護士を見ると、「え、大丈夫なの」とちょっとハラハラしたりするのですが。

単に意見とか感想述べるくらいならいいんじゃないの、という方もいるかもしれません。
が、こういうことを言うと、そこからいろいろな推測が働いてあることないこと報道される危険性もありますので、やはり何も言わない方が無難。

そんなわけで、昨日見た某有名外国人被疑者の弁護人らの対応は、弁護士として極めて正しいものだといえましょう。

テラバヤシも、普段はブログとかでいろいろ言いますが、事件のことはしゃべりませんので、悪しからず。



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by terarinterarin | 2018-12-02 15:39 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。ウェブサイト https://attorneyterabayashi.simdif.com  「弁護士テラバヤシ」でツイッターもやっています。


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