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破産者マップについて考えたこと。

私は、破産者マップ被害対策弁護団の一員です。
今日は、破産者マップのことについて思うことをツラツラと書きますが、以下に書くことはあくまで私個人の考えであって、弁護団とは全く無関係です。
ちなみに所属事務所とも無関係です。
そのことを前提としてお読みください。

弁護団発足が18日、サイト閉鎖発表が19日未明というスピード感からか、マスコミが興味を持ってくださって、弁護団の弁護士数名に対する取材がありました。
私もテレビ朝日から取材を受けて、その内容が、20日朝の羽鳥慎一モーニングショーで放送されました。

その時間まだ自宅にいたので、どんな風に取り扱われるのか、放送を見ていました。
コーナーでは、開設者がサイトを開設した理由についても取り上げていました。

開設者は、概要、こんなことを話していると、番組では整理していました。

データに基づいて物事を理解、判断、実行、評価する国になってほしいという私なりの日ごろの思いを形にしたものでした。

そして、これについて男性のコメンテーターが、技術者の中にはこういう考え方をする人がいる、などとコメントしていました。
著作権の縛りがない、あるいは希薄な、国が持っている様々なデータを広く活用できるように技術開発を進めたいという考えの人が技術者の中にはいる。そのような趣旨の発言でした。

そもそも、この公表された目的自体、私は嘘だと思っています。
なぜなら、このサイトには削除要請フォームがあり、現在の連絡先やメールアドレス、勤務先等々、更なる個人情報を記載させるものになっていたからです。
あくまで私個人の意見ですが、売却目的の個人情報収集が真の意図だったように思われるのです。

仮に被害者マップの開設者が技術者であり、真に先程挙げた目的でこのサイトを立ち上げたのだとしましょう。
しかし、先の考え方がいくら技術者にありがちなものとはいえ、この考え方は、前提として検討しなければならない問題が全く検討できてない間違ったものと断言したいと思うのです。

こういう考えの技術者は、データは色のないニュートラルなものという感覚を持っているのでしょう。
そして、ニュートラルな情報は、どんな風に加工を施してもニュートラルなままだと考えているのでしょう。

しかし、そうではありません。
データは、特定の目的の下で収集、ときに公開されます。
目的に見合った観点から収集すべき内容や収集方法が決められます。公開の有無、するとしてその方法や範囲も決まります。
その結果収集されたデータ、公開されたデータには、目的に見合った色がつきます。
例えば内閣支持率の世論調査でも、マスコミ各社で結果が違います。

官報に破産者の情報が掲載されるのは、一言で言えば債権者の手続保証のためです。
破産手続への参加、即時抗告できる機会を失わないようにするために破産情報が掲載されているのです。
債権者が、債務者の特定、照合が可能なように名前や住所などの情報が掲載されているのです。

確かに官報は図書館に行けば閲覧可能です。しかし、入手は有料です。限られた場所でしか買えません。ネットの閲覧も原則有料です。
日本特有の事情かもしれませんが、破産は不名誉なものと考えられています。
おそらくはそのために、情報提供の必要性と個人情報の過度な流布を回避する意図で、公開範囲がある意味限定的な官報への掲載という方法が採用されたものと推察されます(違う場合は、ご指摘ください)。

もし、破産者マップの開設者が、本気で、破産者の情報を、人口とか地価とか、保育園の待機児童率とか、そういった情報と全く同じものと考えていたのだとしたら、あまりに思慮がなさすぎると言わざるを得ません。
なぜ、破産者情報が官報という、ある意味奥ゆかしい媒体を使ってだけ公表されているのか、思い至ることができなかったのでしょうか。

情報は、使い方を間違えれば凶器になります。
もし、破産者マップが未だ閉鎖されなければ、あるいは今後第2の破産者マップが出てきたりしたら(未確認ですが、その動きがあるという情報もあります。)、どうなるでしょう。

会社では社員の破産者探しが行われ、横領などを防ぐ目的という名目で破産者が解雇される。
採用の応募者について、過去の破産歴の有無をチェックするのが慣例化する。
子どもたちは、誰それちゃんのお父さんが破産したらしいよとLINEで情報を飛ばし、いじめの対象にする。
そういう事態が怖くて、到底返せない多額の借金があるのに、破産できない。

死人が出るでしょう。

情報は単なる客観的事実ではありません。
ニュートラルなものではありません。
その扱いに細心の注意が必要なものです。
技術の名の下に、気軽に弄ぶようなことはしてはいけません。
扱う前に、その情報が持つ意味を考えて欲しいと思います。










Commented by エンジニアって at 2019-03-21 18:08 x
エンジニアって。。。こういう感情理解が苦手な人もいるんですね。。う-ん。。。視点を切り替えて相手視点で思考し、感情を疑似的に味わってみる、という事が思考の外なんですかね。上記の方は指摘を取り入れていく意思がある方なので理解の幅を広げていって下されば、さらに世に貢献できると思いますが。感情理解、理論思考など人それぞれ苦手分野は有るので、自分の感情理解を全面的に信頼しないで、実行される前に信頼できる人に相談される事をお勧めします。
Commented by terarinterarin at 2019-03-21 19:14
> 匿名希望のエンジニアさん
ご理解いただけて嬉しく思います。
失礼なことを申し上げたにもかかわらず、応援下さりありがとうございます。
Commented by まつ at 2019-03-22 09:41 x
今回の前例が、このような方々の抑止力になることを期待します。

このような方々はまだまだいるんだな、怖いなと思いました。


Commented by 住所でポン! at 2019-03-22 10:33 x
「インターネットで電話番号を検索できる」サービスを作って今も公開している者ですが、最初は破産者マップの時と同じくらい大炎上しました。脅されもしたし、訴えられもしました。それでも徹底抗戦を決意し、外国サーバーにいくつもデータをコピーして、さらに生データを大量に無料配布して既成事実化してやっと押し切ったのが実態です。

「ハローページは『公開情報』。使用方法について著作権侵害などの不法行為が確認できない限り、規制するのは困難だ」というのは、そこまでやられると、ということで諦めたのだと思います。後付けの理由に過ぎません。

法律論に見せかけていますが、結局は感情論です。電話番号検索についてはいろいろな人と論戦を挑みましたが、法律論で分が悪くなると、「法律の趣旨」「気分の問題」と徐々に感情論に逃げていきました。裁判では希望者の情報を消すよう判決が確定しましたが、裁判所の理屈は「紙とネットは違う」というものです。ただ、サイト自体の閉鎖までは求められていません。

しかし、本年から改正著作権法が施行され、紙の出版物の内容をネットで検索できるように正式に認められたことはご存知でしょうか。実際、徐々にグーグルブックスで官報の内容が検索可能になり、帰化情報や破産者情報もヒットするようになりつつあります。

電話帳については、最近ではNTTが電話帳に載せるとインターネット等で流用される旨を丁寧に説明するようになりました。弁護士も官報の情報は建前上公開情報であって、様々なデータベースで流用されており、場合によっては文字通り大衆の目に触れる可能性があるということを説明すべきです。

法律家が公然の秘密を野放しにして、法律論の体裁を取りながら、事実上は感情やモラルを拠り所にするのは不合理と思います。情報が世界に開かれている時代に、日本特有の空気を読めとか忖度のような文化は通用しません。

また「死人が出るでしょう」と他人事のように言っておられますが、むしろそれが破産者に対する脅しのように感じます。破産しようがそのことが他人に知られようが、死ぬ必要なんて絶対にありません。

Commented by 夕日 at 2019-03-22 18:54 x
寺林智栄様

匿名希望のエンジニア様の意見に対し

>厳しいことを言わせていただくと、法律の素人というのは、逃げでしかないと思います。
>仮に、破産者マップ解説者に悪意がなかったのだとしたら、それはイコール想像力の欠如です。

と余りに横暴な意見だと感じたので書かせて下さい
そもそも、匿名希望のエンジニア様(以降、エンジニア様)は常識の範囲内で言えば合法に感じて不思議じゃない合理的な理由を述べています
それに対して「逃げ」という人格否定するような発言はちょっと言い過ぎではないでしょうか?

そして「想像力の欠如」とまで言われて攻撃されています
世の中で起こる不幸な出来事の多くに想像力の欠如や知識不足で起こることがあります
常識的な範囲内ですら起こるのです

寺林様はその人達、弱者に想像力の欠如という言葉を投げかけるのでしょうか?
人間は万能でも全能でもありません
やってみて失敗することは多々あります

子供たちには失敗を恐れずチャレンジしろと言っています
寺林様みたいな人を責め方をする人が増えればチャレンジ精神は大きく損なわれてしまうでしょう
自分よりも想像力がある人から自分の失敗を責められるリスクを常に抱えてしまうからです

今回の匿名希望のエンジニア様の文章を読んで合理的な理由を読んで私は納得できました
破産者マップを支持しているわけではなく
破産者マップの作成者の考えや情強を推し量るだけの想像力が私に欠けていたなと感じました
Commented by あさなまら at 2019-03-22 19:02 x
そうかなあ。想像力豊かな方という事はわかりました。
Commented by あさなまら at 2019-03-22 19:16 x
前述の発言は、ブログ主の弁護士先生様に対してです。ついでに申し上げますと、スクレイピング技術についてご存知でしょうか?インターネット上に掲載されたデータはOCR等の画像解析技術により容易にデータベース化されます。公開する側が対策すべき事案なんですね。データとして取れちゃうものは流用されても仕方ないんですよ。法的に事後的に縛るなんてナンセンス。公開する側が流用されないようにしてないのが今回の原因ですね。
Commented by あさなまら at 2019-03-22 19:16 x
前述の発言は、ブログ主の弁護士先生様に対してです。ついでに申し上げますと、スクレイピング技術についてご存知でしょうか?インターネット上に掲載されたデータはOCR等の画像解析技術により容易にデータベース化されます。公開する側が対策すべき事案なんですね。データとして取れちゃうものは流用されても仕方ないんですよ。法的に事後的に縛るなんてナンセンス。公開する側が流用されないようにしてないのが今回の原因ですね。
Commented by システム屋 at 2019-03-23 02:47 x
あさなまらさんへ

システムだからなんでもしてよい、ってわけではなく、人が
法律を守らなければならないように、人が作るシステムも同
様に法律を守らなければならないものです。

官報の情報は個人情報です。
個人情報は個人情報保護法により取扱い方法を決められています。
したがって、それらの情報を扱う人やシステムは当然ながら個人
情報保護法を遵守しなければなりません。

ネット上にあるデータだからといって無制限に転載して良いもの
ではありません。収集し蓄積したデータから個人情報を特定でき
ないよう加工するプロセスが必要ですし、削除の為に個人情報を
集めるのであるなら同様に、法律で決められた通りにデータを管
理する必要があります。

世の中、いろいろなことが様々な法律で定められています。
エンジニアだからといって、転がっているデータを使っても問題がない
等は言語道断で、法律を知らなかったで済む問題ではないです。

かの哲学者の言葉になぞらえて今回の事を評すれば、

無知は罪なり
→ 法律を、個人情報保護法を知らずにシステムを作った事で
  生じた結果

知は空虚なり
→ 官報公告の意味を勘違いし、公告されているから無制限に
  転載して良いと思い込むこと、まさに生兵法で空虚そのもの

英知を持つもの英雄なり
→ 法律を理解し、法律に従ったシステムを作り、問題の無い
  範囲でシステムを公開することができれば・・・
  英雄とは言わんが、もっと有用なビッグデータの活用に
  つながる発明たり得たかもしれない。
 
Commented by NET at 2019-03-23 10:01 x
もうすでに犯罪は始まったみたいですけど・・・
https://twitter.com/mapsakujo
Commented by やり過ぎです at 2019-03-23 10:58 x
第三者を装い破産者マップ開設者が、さり気なく書き込みしているようなのでひと言書かせて頂きます。
(書き込みしてなくても、ここを見ている可能性は濃厚なので)
破産者マップ作成者さん。
公表する側が、されそうな勢いになってる側に移った
今の気分はどうですか?
まず、個人情報を何と心得ているのでしょうか?
破産という事実は、確かに名誉な話ではないし、
実際破産したら、就けない仕事もたくさんあります。
ローンもしばらく組めない重い手続です。
だから世間には、破産者=人生の落伍者。
破産=お金に対する計画性が無い残念な人。
という、固定観念・ラベリング・決めつけがある。
しかしながら破産者全員が、落伍者であったり、
無計画な人である訳ありません。当たり前ですが。
破産が10あれば10ケース。百あれば百、千あれば千ケースの
破産に至るまでの経緯や汲むべき事情が存在するのです。
ギャンブルとか風俗につぎ込んだ挙句の破産も中にはあるでしょう。
だが、それが何だってんですか。
やり直し・再出発の意を込めての破産も多々あるわけでしょう。
破産した人間は自業自得。曝されて社会的信用を全て失って途方にくれなさい。とでもいうのでしょうか?
何様のつもりですか?
削除希望者には破産に至るまでの経緯を○字以上で書いて下さい?
今の生活状況を○字以上で書きなさい? 
お前は刑事裁判官か検事にでもなったつもりか?
保護司の真似事でもしようというのか?
上から目線にもほどがあるぞ。

実際破産者マップのわずか数日の閲覧で、
新規事業の話が消えた。
会社の上司に呼ばれ破産者かと糺された。等、さらに追い詰められた人が出ています。
破産者マップ管理者さんはこれを聞いてスッとしましたか?

あなたが今更謝罪しようがサイトを畳んで逃げようが遅いのです。弁護団が動いています。
集団訴訟の話が複数あがっています。
逃げられんぞお前。
他人を晒すんだから自分も晒して出て来いや。

早速破産者マップがコピーされバラまかれた。という話もあります。
全部対応して頂けますよね?
出来ないとか言うんなら、あんたは平成最後にして最大の卑怯もんや。
何ガ一番言いたいかと言うと、
敵に回した数が多過ぎた。
震えて眠れ。と言う事です。
Commented by terarinterarin at 2019-03-23 15:16
テラバヤシです。

数名の方が、匿名でコメントした方を破産者マップの関係者と決めつけたコメントをしていらっしゃいますが、どうぞおやめください。

確認できていないにもかかわらず、そのように責め立てることは一種の暴力です。

プライバシー保護を重視して今回のブログを書いた身としても、そのようなコメントは賛同できません。
Commented by まったく at 2019-03-24 00:40 x
ブログ主に対して反論する人の言葉に「現実感」が伴ってないのが気になる。単純に、理屈の上で認められている権利だけを都合よく語っているようにしか見えず。要するに「机上の空論」というやつだ。
そもそも著作権という言葉が出て来ること自体が変に思う。
「電話帳」については、ユーザーは掲載を拒否しようと思えばそれができる権利も手段もある。言いかえれば「電話帳に掲載する事を拒否しない」という事はそう言う事。
NTTはそれを周知させようと努めているに過ぎない。
従って、電話帳が定期改定されるのに伴い、そのデータを引用してネットで公開しているサイトが、NTTが定期改定の際に申し出に従って消したはずの個人情報をそのサイトが消し忘れて、そのまま改訂版の電話帳にも掲載していれば、それは個人情報保護の観点で考えれば必然的な判断の妥当性が生じるようになる。

しかし官報は違う。何かしら法手続きが行われた際にはその内容が必ず記録される物である。
必然的に掲載される性質のものだから、相応の手続きを伴う形で公開されている。
これを勘違いしている者らが官報と電話帳を一緒くたに論じている事にリベラルの暴走のような非常に大きな危機感を覚える。
もし破産者の個人情報をネットに掲載してよいのであれば、性犯罪者マップ、殺人犯マップ、窃盗犯マップ、あらゆる記録の公開に妥当性が生じる。
それは基本的人権が尊重されている国の行いとは言えない。だから破産者マップは問題なのよ。
by terarinterarin | 2019-03-20 16:02 | Comments(13)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。ウェブサイト https://attorneyterabayashi.simdif.com  「弁護士テラバヤシ」でツイッターもやっています。


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