先日の投稿からまだ日が経っていませんが、今日は、皆様、特にペットを飼っていたり、犬猫をはじめとする動物を保護している方に対して、注意喚起したいことがあり、再び投稿することとしました。
「里親詐欺」という言葉をご存じでしょうか。
飼いきれなくなったペット、ペットが生んだ子、保護した動物についての里親の募集に対して、虐待目的や爬虫類の生餌(注:ハムスターなどの小動物が中心)にすることを秘して、応募をかけ、これらの動物の引き取りを図ることを指すものです。
初めて聞いた方もおられるかと思いますが、SNSやインターネット上の里親募集掲示板などでは、このような事案が少なくないと言われております(一部には、生餌として爬虫類飼育者に流す目的で、小動物の引き取りなどを行う闇業者のような存在もあるようです)。
このような里親詐欺の被害にあった際に、法的にできる対応があります。
実際に虐待や殺害、爬虫類の生餌にしたことが分かった場合には、まず、引き取り相手に対して、損害賠償や慰謝料の請求が可能でしょう。
虐待や生餌にするという真の目的を秘して、あたかもペットとしてかわいがるかのように装って動物という民事上の財物を交付させていることになるのですから、法的には「詐欺」=不法行為ということになります。
ですので、動物の財産的な価値や自分が被った精神的苦痛に対する慰謝料を相手方に請求することができるのです。
また、虐待や殺害は、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)44条に違反し、殺害や傷害を負わせた場合には5年以下の懲役または500万円以下の罰金、それ以外の暴行・酷使等については1年以下の懲役または100万円以下の罰金という刑罰が科されます(ちなみに遺棄した場合にも1年以下の懲役または100万円以下の罰金という刑罰が科されます)。
ですので、被害届を提出する、刑事告発するということも可能です。
しかし、これらの方法は「法的に可能」というだけであり、実際にこのような対応をすることは困難であることが予想されます。
なぜなら、里親詐欺をもくろむ者は、目的となる動物を手に入れた後、SNSのアカウントを削除したり、電話やメールを着信拒否・受信拒否するなどして、一切連絡を取れないようにしてしまうからです。
そこで、里親を募集する場合にこのような詐欺に遭わないよう、「予防措置」を講じることが非常に大切になります。
まず、里親の募集はSNSやインターネットなどを通じずに行うことを推奨します。
親戚やよく知っている近所の方、友達、そのような方がいない場合には、保護団体や保護活動をしている個人の方などを頼って里親募集するのが一番良いでしょう。
なお、保健所に連絡するという選択をする方もいますが、以前よりましになったものも、保健所の多くでは、未だ一定期間を過ぎて引き取り手のない動物は殺処分してしまいます(その期間は極めて短期間であることが多いです)。
ですので、お住まいの地域の保健所がそのような対応をしているかどうかをきちんと調べる必要があります。
また、保護団体の中には、個人からの持ち込みにほとんど対応していないところも少なくありませんので、その点もご注意ください(多頭飼育崩壊のレスキューや行政からの持ち込み等で精いっぱいというところが少なくないものと思われます)。
上記のような対応ができない場合には、やむを得ず、SNSやインターネットの里親掲示板などを使用することにならざるを得ませんが、その際には、以下のような措置を講じることが必要かと思います。
・相手の身分確認を怠らない(身分証を必ず提示させ、コピーや写真を撮る)。
・電話番号、メールアドレスを確認する。
・自宅に訪問して飼育環境が整っているか確認する。
・相手の自宅で手渡す。
・譲渡の契約書を交わす。
これらの1つでも拒否をするような相手方には、動物を譲渡するべきではないと思います。
真剣に動物を飼いたいと思う人であれば、これらのことは当たり前だと考えて対応するはずです。
1つでも拒否する場合には、里親詐欺の可能性があると考えて差し支えないと思われます。
また、里親に出す側もここまでのことをするのは面倒くさいと考えるかもしれません。
ですが、今手元にある命を手放すのです。これくらいの手間暇をかけることは当然ではないでしょうか。
自分の子供を手放す場合を考えてください。それと同じことです。
里親詐欺の常とう手段として、いきなりSNSのDMで連絡を取ってくる、待ち合わせをして引き取りをしようとするという特徴があるそうです。
このような接近のされ方も要注意です。
ただ、私は、里親詐欺に遭わない一番の予防方法は、安易に飼育しない、安易に繁殖させないことだと思います。
何の勉強もせずに飼ってみたけれどもてあましてしまった。
かわいいペットの子供が見たくてつい繁殖をさせてしまった。
お金がもったいなくて避妊去勢をしなかった。
飼い主が安易な行動に出たことの結果として、動物を里親に出さなければならなくなるケースも少なくないのです。
ペットを飼いたいと思ったら、飼育書を買って読み、本当に飼いきれるかどうか勉強する。
ペットにどの程度のお金がかかるのか事前に把握する。
繁殖した場合に自分で責任を負いきれるかどうか事前に検討する。
このようなことが一番大切ではないかと思います。
私自身は、現在ハムスターを飼育しています。
動物を飼いたいと思ったときに、いろいろと勉強し、今の自分の環境では犬や猫は飼えないという結論に至りました。
ハムスターであれば、自分のライフスタイルでもなんとか飼えるのではないか、と飼育本を2冊読んで思い、飼育を始めました。
十分に勉強したつもりでいましたが、それでも、予想外のことは多々あります。
繁殖はせず、一匹のハムスターを終生飼育するつもりでいます。
コロナ禍でペットの需要が増えたのと同時進行で、動物が命の危険にさらされる危険も増してしまいました。
動物を飼っている方、動物を愛しているすべての方に、動物が不幸な目に遭わないよう細心の注意をしてもらいたく、今回の投稿をしました。
参考になれば幸いです。