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弁護士ポータルサイトについて考えてみる2022冬

何度かこのテーマで書いていますが、今日は相談者の側から見たポータルサイトについて書いていきたいと思います。

現在私が所属している事務所は、事務所の案件に対応するのが主であるため、弁護士ポータルサイトなどを使って露出を稼ぐ必要はありません。

しかし、自分としては、いざというときの法律相談の勘所を忘れたくないという気持ちで、毎日とあるポータルサイトを覗いて、寄せられた相談に答えています。

ポータルサイトに寄せられている相談の中には、少なからず、Q&Aにおける弁護士の回答で「最終判断をしたい」というものが見受けられます。

つまり、お金をかけずに、自分の疑問に対する答えを見つけたいと考えている人が多いのです。

もちろん「実際に法律相談を受けるまでもない」問題もありますので、そういう疑問をお持ちの方にとっては、それは間違いではないでしょう。

しかし、基本的に、弁護士が相談者の事情に応じた回答をするにあたっては、個別具体的な情報を本人から収集する必要があります。
場合によっては、メールやLINEのやり取りなどの証拠を確認する必要がある場合もあります。

ポータルサイトのQ&Aでは、弁護士が確定的な回答をする情報が圧倒的に不足しています。
そこで弁護士がしている回答は、あくまで「そこに書かれている事情を前提にした場合の仮のもの」でしかありません。

自分の事情に即した回答を得るためには、やはり、法律相談料を払い(現在は無料相談のところもありますが)、原則的には弁護士の元に足を運んで、必要な証拠を持参して、聞きに行く必要があるのです。

私がポータルサイトで回答する場合には、相談者が実際に弁護士に法律相談に行く気になるように書くことを心がけています。面談で相談することを提案することが非常に多いです。

そういう気持ちでいる弁護士は私だけではないようで、他の弁護士の相談を読んでいても、そういう回答をしている人が結構いる印象です。

なかには、詳細な事情を書きまくって(そのためやたら質問が長文)、精緻な回答を引き出そうとしている相談者も見受けられますが、正直なところあまり意味はないかなと思います。

まず、そもそも、そんなに長文の相談を読む弁護士は少ないでしょう。
また、読みにくくて聞きたいことが頭に入ってきません。
本来有料の法律相談で聴くべき話を「ただで済まそうとしている人」という印象が強く、あまり関わりたくないという気持ちが弁護士側に働くこともあります。
かえって、良質な回答を遠ざけている可能性があると思います。

ポータルサイトを使って法律相談をする場合、あくまで目安、基本的な知識を仕入れるくらいの気持ちでいてもらいたいと思います。

それ以上のことを知りたい場合には、やはりきちんとお金を払って、実際に弁護士に会うべきです。

「ただほど高いものはない」という言葉がありますが、法律相談に関して言えば「ただの情報ほど実際に使えないものはない」くらいに考えるのが良いのではないでしょうか。


弁護士ドットコムが広めたポータルサイトの世界は、弁護士の広告という意味でも法律相談のあり方という意味でも、(当時は)画期的なものだったと思います。

弁護士に「広告による営業意識」を植え付けましたし、法律相談をカジュアルなものにする意味がありました。

しかし、時が流れて、弁護士にとってポータルサイトはうまみが少ないものになったと同時に、一般の人から「専門的な知見を得るためにはお金を払うことが必要」という感覚も奪ったと思います(もちろん、この点に関しては法テラスの存在も絡んでいることは事実ですが)。


将来的に弁護士ポータルサイトはどんな姿になっていくのでしょうか。
いくつかのサイトはおそらく閉鎖されることでしょう。

そして、弁護士広告の主流は、事務所サイトへの誘導となっていくように思います。

いくつかの大手?事務所がやっているようなチャット相談のようなものが、案外主流になっていくのかもしれません。








by terarinterarin | 2022-12-13 19:00 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。


by terabayashi