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いじめているのはどっちだ

札幌にUターンして今の事務所に入り、1年が経過しました。

それまでは個人の依頼者相手の仕事ばかりで、離婚を中心とする家事事件、債務整理、刑事事件が9割を占めていました。

現在所属している事務所は、債権回収が業務の中心であり、その他企業顧問もしています。

仕事の内容がそれまでとガラッと変わりました。立場もまるで反対側になりました。

これまでの経験が全然役に立たないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、実際にはかなり役に立っています。
相手が今どのような立場に置かれているかが良くわかり、それを元に交渉することができるのです。


「債権回収」の仕事をしていると言うと、「大企業側に立って、貧困にあえいでいる一般市民をいじめている」という印象を持つ人も少なくないと思います。

そのような立ち位置で、債務者の代理人が居丈高に対応してくることが度々あり、イラっとしたりします。


実際には逆で、全く筋が通らない理由で、未払を正当化して、喧嘩腰で支払いを免れようとする人があまりにも多くいることに、この1年間驚かされてきました。

そしてまた、一次的に対応するオペレーターをいびる債務者も度々登場します。

お察しの方も少なくないと思いますが、オペレーターの多くは女性で、オペレーターをいびる債務者は8割方中年以上の男性です。

ねちねちねちねち、言葉遣いの些細な部分に執拗に絡みつき、いちゃもんをつけていびり倒そうとしてきます。そうやって謝罪させて、自分を正当化し、支払いを免れようとするのです。

本当に質の悪い人は、オペレーターが上席にかわっても、「さっきのオペレーターに代われ、謝罪させろ」とごねてきます。

収拾がつかなくなったら、私が電話に出て、「話にならないので電話を切ります。二度とかけてこないでください」と言って終わらせたりします。
私が出ると、途端にトーンダウンする人もいます。
相手の肩書で対応を変える卑屈な人物も少なくないということです。

こういう訳の分からない債務者に悩まされているのが債権回収系の法律事務所の実態と言っても良いと思います。

男尊女卑の面影が、こんなところにも存在感を発揮しているのです。


もちろん支払いをしない人の中には、それなりに正当な理由をお持ちの方もいます。
委託を受けるのと行き違いで支払いをしている可能性がある場合には、クライアントに確認をして請求を止めますし、クライアント側の対応に問題があると思われるケースの場合には傾聴することも少なくありません。

そういう「裏での苦労・働き」というのに思い至らずに、「債権回収事務所=弱い者いじめする弁護士連中」という見方しかしない同業者がいることは、頭が痛いところです。

私は、個人のお客様相手の仕事をしていた時から、「相手の対応にも理由がある」となるべく考えるようにしてきました(それでも呪い殺したくなるくらい訳の分からない相手方や代理人が数名いましたが)。

いじめているのはどっちか、いじめられているのはどっちか。

是非、多くの皆さんに考えていただきたいと思っています。





by terarinterarin | 2023-12-27 18:00 | 法律事務所の仕事 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。


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