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今回のお題は、まさしく、富田林警察署で起きてしまった被疑者逃亡事件についてです。

今回逃げたのが、なかなかな凶悪罪名の被疑者だったので、付近住民の皆さんはさぞ不安なことと思います。
そして、富田林警察署の署員の皆さんは、今も肝が冷えきったままのことでしょう…

今回の逃亡の手口は、

接見室のアクリル板をブチ破って、面会者側サイドに出て、施錠されてないドアを開け、
その後、おそらくは留置管理室の前ないし付近をすり抜けて、
どこかから署外に出た…

というもののようです。

警察官の皆さんは、アンビリーバボのようですが、我々弁護士から見ても、アンビリーバボです。

さっき、NHKニュースで、あたかも本物らしい接見室のセットを使ったり、ガラス屋さんで実際にアクリル板を使ったりして、手口を解説してました。

が、我々弁護士が知る接見室のアクリル板は、あんなちゃちいもんじゃございません。

犯罪の嫌疑をかけられて身体拘束されている人の中には、精神疾患や人格上の問題などなどにより、留置施設の中で、大暴れしちゃう人もいます。
接見中もしかり。

なもんですから、接見室のアクリル板は、尋常じゃないくらい分厚いです。
一般家庭用は厚さ3ミリとか言ってましたけど、そんなペラッペラ感は、微塵もありません。

加えて、アクリル板は枠にただはめ込まれるだけではなく、隙間が隙なく充填剤で埋められています。

実は本日接見で警察署に行ったのですが、私の依頼者が中に入って来る前に、思わずしげしげとアクリル板を見てしまいました。

そして思いました。

ここをブチ破った彼は、ものすごい力持ちだと…

接見が終わった後に、弁護士が留置管理室の職員に声をかけていかなかった、などとあたかも弁護士に非があるかのような報道がなされていますが、これについては、真偽の程はわかりません。

どうやら接見が終わったのは、午後8時頃のようです。

留置施設の就寝時刻は午後9時。
8時頃から就寝準備のため、留置管理室の職員の多くは、施設内に入ってしまって、受付まわりにいないこともあったりするのです。

留置管理室だけではありません。
夜や土日の警察署は、人が少ないです。
東京の都市部の警察署ですら、夜は、シーンとしています。

逃げた彼は、その時が留置管理室が手薄な時間であることに気がついて、今回の方法をとったのかもしれないし…

逃げちゃった以上、警察署が矢面に立たされるのは仕方ないかもしれませんが、被疑者が怪力で、盲点を突かれた上に手薄な時間帯だったという不運が重なった、不幸な不幸な出来事としか言いようがない、と思います。

なので、富田林やその周辺の皆様の不安はお察ししますが、誰も責めないで欲しいな、と思うのでした。



by terarinterarin | 2018-08-13 21:31 | Comments(0)
猛暑から一転、雨だわ、寒いわ、の東京です。
皆様、お元気にお過ごしでしょうか?(って前回投稿からあまり時間は経っていませんが)。

テラバヤシは、インターネット上の法律相談サイトに登録しております。
そこでの法律相談とか、あるいは事務所サイトのメールフォームから問い合わせがある相談の中で、実はかなり多いのが、

この件、慰謝料取れますか?

です。

「この件」は様々なのですが、目につくのは、男女トラブルや友人トラブル。
なかでも、「妊娠させられたので、相手の男に慰謝料請求したい」という相談が、かなり目についたりします。

この「妊娠させられたので、相手の男に慰謝料請求したい」の中身も、よくよく見てみるといろんなパターンがあるのですが、例えば、

・避妊してくれといったのに避妊してくれなかったので妊娠した→妊娠したのは男のせい→慰謝料請求したい、とか
・妊娠した後に連絡取れなくなった→慰謝料請求したい、とか
・妊娠した後に、「俺の子供じゃない」とか「堕ろせ」とか言われた→慰謝料請求したい

などなどが多く見られます。

慰謝料を、「嫌なことされた、嫌な思いさせられた、その分お金ちょうだいよ」という、感情を害されたことに対する対価みたいに思っている方が結構多いんだな…と最近実感しています。

が、慰謝料というのは、不法行為、すなわち「相手方の故意過失に基づく法的利益の侵害による精神的苦痛」があって初めて生じるものなのであって、「嫌な思いさせられたからもらえる」などというものではない…と思うのです。

なので、先に挙げた3つの例にしても、他によほどの事情がない限り、慰謝料請求の対象にはならないということになる…はずです(もちろん、認知とか養育費の請求は別の話。それと3つ目の問題なんかは、これに脅迫暴行が伴ったりすると慰謝料請求しやすいパターンになるかと思いますが)。

個人的に、こと日本という国においては、慰謝料というのはそう易々と認められる類のものではないと思っています(とはいえ、依頼者の意向によって、請求するかどうかが左右されることも付言しておきますが)。

なんで、法律相談サイトとか当事務所のウェブサイトでお問い合わせくださった方には、結構高い率で「請求は難しい」とお伝えすることが多いです。
まあ、ぎりぎりとれなくもないかというときでも、「とれたとしてもかなり低額になるので費用倒れになる可能性がある」とお伝えすることが多いです(商売っ気がなさすぎでしょうか)。

しかし、これも最近実感するのですが、「慰謝料とれるとれない」「慰謝料どれくらいとれるか」ということに関する感覚って、弁護士によって結構差があったりするようです。

例えば、法律相談なんかで、「これは(私が過去にくらった判決から考えて)ちと無理だろう」とか思ったものについて、「請求できます!!」とか断言していたり、なかには「○○円くらいは請求できます」とか、金額断言してる弁護士が目についたりするわけです。

実際の訴訟で考えてみても、「お。この訴訟でこの金額来るかい」と思うほど高額の慰謝料請求の案件を見聞きすることもありますし(このあたりは依頼者の意向もあると思うので、その弁護士自身が「これくらい請求してオッケー」と思っているとは限らないでしょうが)。

不貞の慰謝料でも、私なんかは、不貞の期間とか態様とか、今までに自分が受けた判決とか、過去に読んだことがある判例とか、種々様々考えたうえで、それに+ムニョムニョして請求金額を決めています。
これは、頭の中に、不貞の慰謝料は大よそ最高額500万円という実務の言い伝え?が頭の中にあったりするからです(500万越えの話も何度か聞いたことはありますが。どんな事案だったのか詳しく知りたい)。

つまり、テラバヤシ個人は、「慰謝料請求は不法行為に基づく請求」「実務的に認められそうな金額」というものが、どうしても慰謝料のことを考えるときに離れなかったりするのですが、ひょっとしてひょっとすると、世間の弁護士の中には、この基準がない、もしくはものすごーく緩い、という人も案外いるのかなあと。

ウェブ上で流れる「嫌な思いさせられたから慰謝料請求」みたいな相談と同じ感覚の弁護士って、少なくないのかもしれないと思うのです。

そして、少なくない弁護士の皆さんが、そういう相談に対して自信をもって「請求できます」とか書いているのを見ると、「それおかしいだろ」とか思ったりするわけでもなく、逆に「私が難しく考えすぎてるのか?」と自信がなくなったりして。

実務の動きに対する感覚というのは、当然人によっても、経験値によっても違うものですが、慰謝料請求の世界って、もしかすると、中でも、その違いの差が大きい世界なのかな、と思ったりするのでした。







by terarinterarin | 2018-08-07 17:14 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。ウェブサイト https://attorneyterabayashi.simdif.com  「弁護士テラバヤシ」でツイッターもやっています。


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