人気ブログランキング | 話題のタグを見る
超絶お久しぶりです(前回投稿は何と6月でした)。

実は自分のウェブサイトやフェイスブックなどではご案内したのですが、面会交流の連絡調整サービスを始めることにしました。
詳細はこちらから↓


今回は、どうしていまさらそんなことをしようと思い始めたのかについてお話ししてみることにしました。

これまで割と高葛藤な面会交流事案をやってきましたし、東京家裁の家事調停官をしていた時にも取り扱ってきたのですが、子どもの年齢とか、別居親のキャラクターなどを考えた場合、「付き添いまではいらないけど、連絡調整役は欲しい」という案件が結構ありました。

ですが、こういうケースの場合、双方に代理人弁護士がついていて、代理人が暫定的に連絡調整をやっているとうまく行くんだけど、調停成立などにより代理人が外れて、親兄弟なんかが連絡役を務めることになると、とたんに罵詈雑言が飛び交い、面会がうまく行かなくなる…ということがまあまああります。

おそらく、お互いにとって、相手の親兄弟=相手みたいな感覚で、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとばかりに不満をぶちまけてしまう結果、うまく行かなくなる。

そのために、第三者機関というものがあるわけですが、個人的に見ていて、間に入ってくれる「他人」のハードルをもう少し上げたほうがうまく行くパターンというのがあるかなという気がしていたのです。

つまり、代理人弁護士が間に入っているときはうまく行くというのは、間に入っているのが「弁護士」だからというのがあるかなということです。
何か暴言でも吐こうもんなら許しちゃおかんからねっていうオーラを出している感じの人が間に入って、緊張感がある程度ある方が、お互い紳士淑女になれてコンスタントに面会を重ねていけるパターンというのも結構あると思ったのです。

実際私が過去に担当した事例では、(双方代理になるというハードルを合意により乗り越えて)相手方の先生が面会交流の連絡調整役をやってくれたことがあるのですが、少なくとも私の依頼者との関係ではうまく行っていたのです(相手の方も弁護士とは何ともなかったのですが、面会交流中の約束違反が多すぎてだめになった)。

それに、同じ弁護士の方が代理人の先生が付いているパターンでは、話が通じ合いやすく頼みやすいというのもあるのではないかなあ…とも思いまして。

そこで今回思い切ってサービスを始めてみることにしました。

連絡調整だけなので、全国どこの地域でもOKです。

もちろんサービスを始めてみたけれど、全然ニーズがなくて閑古鳥ということもあるでしょう。

しかしまあその時はその時です。

とりあえずやってみることにしました。
寺林に頼んでみようかなと思われた方は、適宜の方法(一般の方はウェブサイトのお問い合わせフォームが一番やりやすいです)でご連絡下さい。



# by terarinterarin | 2025-01-21 14:32 | Comments(0)
この度、kindleで電子書籍を出版しました。

自分の弁護士や家事調停官としての経験から感じたことを中心に書いたものです。
また、2024年5月に成立した共同親権制度についても触れています。

価格は275円です(税込)。

多くの方に読んでほしいと思っています。

もしご興味ありましたらお手に取っていただけると嬉しいです。


# by terarinterarin | 2024-06-26 15:01 | Comments(1)
本年5月に共同親権制度を導入する民法改正が国会で可決され、成立しました。
施行は成立から2年以内ということなので、2026年からは実施されることになると思われます。

先日日弁連の委員会で、共同親権制度に関する勉強会があり、参加しました。
細かいことを言うと色々ありますが、かなりざっくりいうと、今回成立した共同親権制度のポイントは以下のとおりになるかと思います。

・未成年の子どもがいる夫婦は離婚するときに、いずれかの単独親権を選択することもできれば、共同親権を選択することもできる。
・ただし、DVや虐待が一方にあった場合には、裁判所の判断により他方の単独親権としなければならない。
・共同親権か単独親権か、当事者では話し合いがつかない場合には、裁判所が判断する。
・共同親権制度をとった場合、進学や転居については、双方の合意が必要であるが、日常的なことや急迫の事情(緊急手術とか)がある場合には、一方の判断で対応することができる。
・進学や転居等について双方の合意が取れない場合には、裁判所が判断する。

このような共同親権制度の説明を受けて、私は、「争いの種が増えただけで問題は何にも解決しない」と思いました。

まず、一般的に言われている懸念点として「DVや虐待の被害者が離婚しても被害を受け続ける」ということが挙げられますが、これはまさにその通りだと思います。
DVや虐待というのは、客観的証拠が不存在の場合が多く、巧妙な加害者ほど証拠が残らないようにします。
なので、裁判所が、DVや虐待を理由とする単独親権の申し出に対して、(従来通り)客観的証拠を重視した判断をするのであれば、実際に被害に遭ってきた人が全く救われないことになってしまいます。
今でさえ、調停委員の一部(少なくない一部)や裁判官は、DVや虐待の本質が何かという理解に乏しく、DVや虐待の主張をする当事者や弁護士に対して、「証拠もないくせに」「具体的なことも言えないくせに」(日常的にやられているといつ何があったかなんてわからなくなります)と冷たい対応をすることが結構あります。
これがそのまま共同親権制度発足以降も持ち込まれると、日本は、裁判所や調停委員がDVや虐待に加担するとんでもない国に成り下がることになると思います。

ぜひ、裁判官や調停委員には、DVや虐待の実態に即した「物の見方」ができるようになってほしいと思います。

逆に、共同親権のメリットとして、「離婚時の争いが減る」といわれていますが、今回の制度のつくりを見て、「そんなことなかろう」と笑いそうになりました。

そもそも、離婚をしようと思うということは、少なくとも一方には、相手に対する嫌悪感があることが普通であって、「離婚した後は関係を断ち切りたい」と考えて当たり前なのです。
にもかかわらず、共同親権になって、離婚後も子どものことで、進学や引っ越しの度に話し合いをしなければならなくなるなんて、まっぴらごめんなはずです。
加えて、両親とも「子どものことはかわいくて手放したくないけれど、相手と関わるのは金輪際ごめんです」というケースも多いはず。
となると、共同親権制度が始まれば、親権をめぐる争いは「共同親権vs単独親権」と「単独親権vs単独親権」の二本立てになるということになります。

夫婦ともども「共同親権で良いです」というパターンなんて、離婚しても夫に養育費とかきちんと支払わせたい妻とやる気がなくて結構どうでもいい夫のケース…というのが多くて、結局、共同親権にしたものの、夫がきちんと意思表示しないために、進学のことも決められない、養育費も滞るなんてことが起こるんだろうなと容易に推測されます。

また、裁判所の判断で無理くり共同親権とされた元夫婦は、子どもの進学等についてことごとくもめることになり、その度に裁判所に持ち込まれることになるわけです。
それまでは、子どもはどこの学校に行くかも決めることができず、大きな不利益を被ることになります。

少し前出しになりましたが、共同親権のメリットとして、もうひとつ、「養育費の確保ができやすく、面会交流の実施もされやすい」ということが挙げられていますが、眉唾だと思います。
親権を持っていようが持っていまいが、金にだらしない、子どもの養育に無関心な親は、この先も養育費なんて払わないでしょう。
そして、共同親権が実現しても、実際に子どもを監護するのはどちらか片方の親なのですから、その親がどうしても子どもを相手に会わせたくなければ会わせないでしょう。

いくら会う権利があるといっても「会わせない」という事実に勝てないのは、面会交流の根拠が「離婚した後も子どもに会う権利」から「親権」に格上げされても全く変わりません。

養育費や面会交流の問題と親権の問題は別だと、これまで再三に渡り言われていましたが、出来上がった制度を見てみても、そこはいかんともしがたいとしか言いようがありませんでした。

親権なんかなくても、子を思う親は養育費を払い、子を相手に会わせる。
親権があっても、子どものことなんてどうでもいい親や養育費を払わず、相手に子を会わせたくない親は会わせない。
ただそれだけのことです。

こんなしようもない共同親権制度、本当に2年後までに施行されるのでしょうか。
今からでも遅くないので、一回なかったことにした方が絶対いいと思いますけど。

そう思っているのは私だけではないはずです。

# by terarinterarin | 2024-06-18 11:22 | 家事事件 | Comments(0)
つい昨日のこと。
事務所の別な支店の弁護士から、とある情報提供がありました。

大阪のある弁護士が、債務整理の相談をとある会社に継続反復して対応させ、それによって多額の報酬を得ていた件で業務停止3か月の懲戒を受けたという情報でした。
ネットニュースのURLもついていました。

この件が情報提供されたのは、当事務所が債権回収業務をしており、委託を受けている債権の債務者に業務停止を受けている弁護士が代理人として介入している可能性があるからでした(調べたところ複数介入していました。)

この弁護士が所属しているのは、弁護士法人で、法人の方は懲戒請求されていませんでした。
私は、その法人のウェブサイトを検索してみました。

代表はなんと76期で、ウェブサイト上の写真を見ると、まだまだ初々しい、新人然とした表情をしていました。
にもかかわらず、こちらの弁護士法人、既に支店を出していることも判明。
そして、懲戒された所属弁護士は60期台でした。

懲戒された60期台の弁護士が繋がりがあった広告代理店か何かが入り込んで、訳も分からない新人弁護士が代表に祭り上げられ、あれよあれよという間に「拡大させられた」という構図が頭に浮かびました。

60期台の弁護士だけが、会社とパイプを持って債務整理をしていたとは考え難く(現に、この法人の主力業務に債務整理がありました)、近いうちに法人も懲戒されるのではないか…もうヤバい香りしかしないと、背筋が寒ーくなったのでありました。

最近、若手の弁護士が、急速に事務所を大きくして、債務整理を大規模にやっている件をいくつか目にしているのですが、どれもこれも似たような構図なのかなという気がしています。

稼がせてあげるよと広告会社やコンサルタントに入り込まれる→広告料やコンサルタント料の名目で多額の資金を持っていかれたうえ、「儲かるように事務所を動かしてあげる」という名目で、事務所業務全般を広告会社やコンサルに牛耳られるようになる→非弁提携で懲戒される頃には、すっかりお金を吸い上げられて事務所はすっからかん

つまり、ミネルヴァの件は、決して特殊なものではなく、弁護士業界に蔓延する「食い物にされる法律事務所」問題の氷山の一角でしかないのではないか…そんな風に思えてなりません。

といっても、こういうのは、首都圏とか大阪とか、弁護士人口が多いところだけの話だろう…と思う方もいるかもしれませんが、私は、札幌でも、とある業界と癒着して仕事のやり取りをしているとしか思えない「コラボ」事務所のウェブサイトを見てしまったのでありました。
あれは、99%、提携先になにがしか払っている…(名前を出すとこちらが懲戒請求されかねないので、ここは伏せたいと思います)

最近の若い弁護士を見ていると、ある程度のお給料を払ってくれる事務所に入ったり、企業に入ってインハウスロイヤーになる地道系と、「一旗揚げて金儲けしたい」系と極端に分かれるように見受けられます(面白いことをやってやろうという「ベンチャー」系もいますが)。

広告会社とか胡散臭いコンサルタントとかに入り込まれるのは後者の方で、弁護士倫理とか全然身についていないうちに騙されて吸い上げられていくのが、もうお決まりのコース化しているようにしか思えません。

確かに、我が業界は、普通にやってると儲からない業界になったと思います(私は儲からない弁護士です)。
だけど、普通にやっていれば食うに困らない業界であることは変わりないと思っています。

弁護士になって儲けたい、儲かりたいと思い過ぎないのが良いのではないでしょうか。
確かに今は弁護士になった時点で数百万の借金抱えている人も少なくないでしょうが、地道に返せばいいんですよ、そんなもの…

なんだか深い闇が実は自分の周りに蔓延しているのではないか、そんな恐怖心を抱いてしまう、昨今の弁護士業界だったりするのでした。




# by terarinterarin | 2024-05-21 15:29 | Comments(0)
前回投稿からちょうど3か月経ちました。
大変ご無沙汰しております。

札幌弁護士会に登録替えした後、1年以上刑事事件の待機名簿に登録していませんでしたが、今年の2月に登録し、その後2件の刑事事件を担当しました。

まだたった2件ですが、東京と札幌の身体拘束に対する実務の違いに、若干戸惑って?おります。

守秘義務があるのであまり詳しくは書けませんが、1件目は、知的障害と発達障害がある幼い子どもに対する親による傷害事件でした。
配偶者や他の子供にも知的障害や発達障害があり、様々な意味で家庭生活が成り立っておらず、社会福祉法人や児童相談所が介入して、何とか生活をぎりぎり保てているような状況の中で起こった事件でした。

勾留を阻止する活動をすることもできませんでしたし、私の感覚では、延長満期まで勾留され、その後は略式になるか、あるいは支払い能力がないのであえて正式裁判請求されて、未決勾留日数の算入により罰金支払い済みとみなして判決後に釈放…という流れかなと考えておりました。

そうしたところ、延長後の勾留は7日間で、略式起訴後いったん釈放されたようでした。

この事件で、勾留が延長7日間しか認められないというのが私には新鮮でした。
事案は単純でしたが、被害者は知的障害と発達障害がある幼い子どもで、事情聴取にも特段の配慮が必要でしたし、母親からの事情聴取も難航を極めそうな感じでした。
なので、おいそれとは捜査が進まない…という理由で、東京なら間違いなく延長後10日間フルに勾留が認められそうな案件だったのです。

それを7日で終了させて、略式起訴していったんは釈放(労役場留置が待っているのはほぼ確実ですが)というのは、私にはなかなか驚きでした(なお、私としては不起訴でよいと思う案件だったので、その旨の意見書は提出しました)。

次に昨日来た案件は、泥酔した男性が飲み屋で起こした本当に軽微な暴行事件でした。
当番の出動要請があって接見して話を聞かされた時、勾留請求は却下される可能性が結構高いけれど、勾留請求まではいくだろうと思っていました。
そこで、勾留請求をしないように求める検察官宛の意見書と勾留請求の却下を求める裁判官宛の意見書を作成すべく(本丸は後者だと思っていました)、接見後、私はえっちらおっちら、仕事関係者のもとに行って身元引受書をもらいました。
そして、それを意見書に添付して、今日の朝イチで張り切って札幌地検に提出しに行ったのです。

そうしたら、本日の送検予定のものに該当がない、したがって意見書は受け取れないと、係の事務官から言われました。
私は驚いて警察署に電話し、捜査担当者に聞いたところ、送検せずに本日釈放すると言われたのでした。

私は二度びっくりでした。
確かに私の眼から見たら、「酔っぱらいのちょっとしたおイタ」程度で、こんなもの勾留して罰金まで行ったら正気の沙汰じゃないというものでした。

しかし、東京の身体拘束の実務の感覚では、警察が送検せずに身体釈放するなんてありえませんでした。
逮捕したらとりあえず送検、送検されたらとりあえず勾留請求、それがザ・東京の身体拘束実務でした。

なぜ、東京と札幌でこんなに違うのだ?と考えたのですが、ひとつには、人口の違い→刑事事件の数の違い、ヤバい人の人口の違いというのが挙げられるのかもしれません。
とりあえず、ヤバそうな人は許されるかぎりぶち込んどけという感覚が、何でもありの街東京にはあって、政令指定都市とはいえ、全然牧歌的で所詮地方の街に過ぎない札幌にはないということなのかも。

そしてもうひとつ、札幌の弁護士の皆さん方が、これまで一生懸命身体拘束を争ってきたことの成果として、今の状況があるのかもしれないなとも思うのです。

確かに東京には著名な刑事弁護人がたくさんいます。
一方、札幌は、会ぐるみで地道にコツコツと捜査機関とこれまで戦ってきたのでしょう。その結果、「むやみやたらと身体拘束できない」という感覚が、捜査機関にも根付いたし、裁判所の勾留実務にも表れているような気もしています(もちろん札幌にも刑事弁護の大御所は何人もいます)。

私は、「まあ札幌では新人だけど、ハードな東京でやってきたから」と自負していたところがありましたが、もうイチから学ぶつもりで、ひとつひとつの刑事事件に当たって行かねばならない気がしています。

来月も待機日があるので、その時にはもう少し札幌的な感覚で、刑事事件に対応したいと思うのでありました。

# by terarinterarin | 2024-04-26 13:19 | 刑事事件 | Comments(0)

寺林智栄の弁護士としての日々や思いをつづります。


by terabayashi